<日本ハム0-2ソフトバンク>◇2日◇札幌ドーム

疲れた羽を癒(いや)すのに、よほど「北の大地」は心地よいのだろう。ゲーム差1・5と肉薄していた日本ハムとの「首位攻防戦」は、ソフトバンクがエース千賀の快投もあって完勝した。これでゲーム差は2・5。敵地・札幌で首位の座を譲ることはなくなった。

「いやいや、まだまだ厳しいですよ。昨日(1日)に比べれば千賀がピシッと投げて締まった試合になったけど、気を緩めるわけにはいかないですよ」。試合後、森ヘッドコーチは笑顔なくそう言った。当然だろう。参謀役は常にネガティブ思考なのだ。所沢でノーガードの殴り合いのような乱打戦を演じて、当日移動で乗り込んだ。羽田~新千歳で飛行機に揺られてそのまま札幌ドーム入り。試合前の練習時間も短縮してチームは疲労回復に努めた。

森ヘッドコーチが言うように、8月連勝も楽観はできない。故障を抱えながらグラウンドに立つ選手が多く、今日3日は今宮がコンディション維持のため先発メンバーから外れる方向だ。ジャスト100試合目。残る43試合、有終のゴールテープを切るには選手起用と体調管理を天秤(てんびん)にかけながら戦っていかなければならない。何とも悩ましいベンチワークが続く。

故障禍の検証はシーズン後に譲るとしても、正念場の戦いに向けた「戦術」の検討はしっかりとやらなければならない。この日、2安打を放った江川は腰の故障もあったが、これまでの長打を捨てコンパクトな打撃を追求した。初戦は8本の単打だった。試合巧者でもある日本ハムを十分に攻略できた。「足(た)るを知る」ではないが、不足を補うのではなく、今あるものでどうしのいでいくか-。厳しい戦線を勝ち抜いて行くにはこれこそが肝要だと思う。【ソフトバンク担当 佐竹英治】