プロ野球選手にとって、故郷に夢を与えることも1つの仕事だ。12月初旬、愛媛県西条市で「ベースボールクリスマス2019in愛媛」が開催された。

高校時代に「伊予ゴジラ」として名をはせた西条高出身の秋山拓巳投手をはじめ、済美高出身の楽天安楽智大投手ら愛媛にゆかりある選手が顔をそろえた。秋山は「こういう機会で地元の人が喜んでくれたので良かった。育った地で大きなイベントができてうれしく思っています」と語った。小、中学生と計2日間触れ合い、育った地で笑顔を見せた。子どもたちにとって最高のクリスマスプレゼントになっただろう。

イベントには矢野燿大監督が中日時代にバッテリーを組んだ野口茂樹氏も参加した。西条市出身で地元の丹原高を卒業した野口氏は「愛媛県出身の高校の選手が必死に頑張ってくれて、また集まってなんかしようかくらいの流れになってくれたら。松山でもいいし、西条でもいい。どこでもいいんです。愛媛県人の中でやろうという流れになってくれたらいいんです」と神妙な面持ちで語った。故郷に夢を与えてほしいという切実な言葉に共感した。

私は福岡県小郡市出身。同郷のプロ野球選手には中谷将大外野手がおり、のぞみが丘小では私の4学年上の先輩。同小には現在も「がんばれ中谷将大! 応援しています!」と書かれた横断幕がある。そんな先輩が17年に「阪神の4番」として20発を放った。当時京都の大学生だった私は、必死にバットを振る先輩を誇りに思い、郷愁にふけっていた。

来季の阪神には新入団を含めて全国30都道府県出身の選手がいる。15年ぶりのV奪回と同時に、それぞれの故郷に夢を与えてほしい。【阪神担当 只松憲】

阪神中谷将大
阪神中谷将大