新型コロナウイルス拡散防止のためソフトバンクも3月31日から活動休止となった。開幕どころか練習すらできない環境は、球界にとってあまりにも厳しくつらい。ナインは口々に「仕方ないですね」「世の中のひとたちも我慢している」と言った。4月3日までの4日間は本拠地ペイペイドーム、福岡・筑後市のファーム施設は完全封鎖。休止期間は長期化しそうな気配である。

選手たちが姿を消して閑散としたドーム球場。この日は「福岡ドーム」(現ペイペイドーム)のバースデーでもあった。1993年(平5)3月31日。日本初の開閉式ドーム球場が誕生した。ドーム内で盛大に竣工(しゅんこう)式が行われ、ダイエーホークスの初代オーナーだった中内功氏(故人)も喜色満面でグラウンドから開閉する巨大なドーム屋根を見つめていた。球場メインエントランスの壁には今も同オーナーが筆記体の英字で記した「For the Customers(お客さまのために) 1993.3.31 I.Nakauchi」のプレートがはめ込まれている。

3・20開幕ならば、31日のドーム球場27歳の誕生日は西武2連戦の初戦だった。リーグV奪回を目標にするホークスにとって昨季リーグ王者・西武との今季初対決にファンは盛り上がったことだろう。コロナ禍に待ちぼうけを食らったファンもつらかろうが、今はとにかく終息に向け忍耐の日を送るしかない。

中内氏の座右の銘は「ネアカ、のびのび、へこたれず」。不気味なウイルスに戦々恐々の毎日だが、球音が響き渡る日まで、へこたれるわけにはいかない。こんな時期だからこそ、ポジティブ思考も大切だ。来る「開幕」に向け、新たな企画も考案したらどうだろう。ホークスならば、開閉式ドームの利点であるオープンルーフでの試合日数を増やすなども一考か。ピンチをチャンスに変える発想も必要かもしれない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】