21年度版「理想の巨人打線」の完成型に近づいた。巨人は14日、東京ドームでDeNAから国内フリーエージェント(FA)権を行使した梶谷隆幸外野手(32)と井納翔一投手(34)の入団会見を実施した。同席した原辰徳監督(62)は1番梶谷から始まる理想の上位打線案を披露。井納には先発ローテーションの一角としてのフル回転を期待した。巨人は来年3月26日の開幕戦で、2人の古巣DeNAと対戦する。

   ◇   ◇   ◇

生粋の野球小僧の精神で突き進んできた。不調に陥れば、ロッカールームで素振りを繰り返し、フォームを確認する。全力プレーがゆえに負傷、ケガにも泣かされてきた。

チームが初めてCSに進出した16年。巨人との同ファーストステージ第3戦で内海から死球を受け左手薬指の末節(まっせつ)骨を骨折した。激痛が残るまま、広島との同ファイナルステージに強行出場し、フェンス際のグラブを突き出し好捕。どんなに道が険しくとも、1球、1プレーにこだわり、執念を燃やしてきた。

プロ14年目の今季は復活のシーズンだった。開幕から「1番・中堅」として躍動した。109試合に出場し、打率3割2分3厘でシーズン終盤まで首位打者を争った。3年ぶり6度目の2ケタ19本塁打、3年ぶり5度目の2ケタ14盗塁をマーク。ケガにも泣かされ不振に苦しんだ、ここ2年のもどかしさをグラウンド上で払拭(ふっしょく)した。「頭で分かっていたことでも、実際にやるのは難しい。勇気も必要。何があっても今年はやり続けると決めていた」。不退転の決意は新天地でも継続する。【為田聡史】

16年10月12日、広島戦で左手小指部分を切った打撃手袋をはめて打席に立つ梶谷
16年10月12日、広島戦で左手小指部分を切った打撃手袋をはめて打席に立つ梶谷