日本ハムからポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指していた有原航平投手(28)が25日(日本時間26日)、レンジャーズと契約合意したと、米メディア「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者がつぶやいた。

有原のポスティング申請は日本シリーズ終了の翌日となる11月26日に、日本ハムが申請手続きを終えたことを発表。12月27日午前7時(米東部時間26日午後5時)が交渉期限だった。 昨オフから公言してきた夢を実現させた。

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あの瞬間から、メジャーへの道を歩き始めた。14年10月のドラフト会議。有原は、早大で、テレビ中継のくじ引きの様子を見つめていた。「日本ハム、日本ハム、日本ハム…」。隣にいたチームメートにしか聞こえないほどの声で、願っていた。4球団競合の末、意中の球団が交渉権を獲得。「メジャーリーグに行くためには、日本ハムが一番いい」。プロ入り前から米国行きに比重を置いていた。

揺るぎない夢だった。入団時、球団にはメジャー志向であることを伝えた。不退転の覚悟の表れだった。具体的な数字の目標よりも「勝てる投手」を掲げ、その先にある「大リーグ」を追いかけた。マウンドで放つオーラは、鬼気迫るものに近かった。守っている先輩から「怖い」「話し掛けづらい」と言われるほど。威風堂々と試合を制圧してきた。

近寄りがたい雰囲気も、マウンドを離れると和らいだ。2歳上の兄を持つ弟気質で、先輩といる姿が目立った。かつての大谷(エンゼルス)を筆頭に、後輩からいじられることが多く、チーム内では先輩後輩問わず慕われていた。大食漢の甘党で、プロ入り直後の減量中に「今年が一番もらった。(バレンタインチョコは)食べても、いいかな」と、ちゃめっ気を見せたこともあった。

「しばられたりするのが嫌なので、自然体でやりたい」と笑い、飛び込んだプロの世界。きっと海の向こうでも伸び伸びと、大きな体を躍動させるだろう。【日本ハム担当=田中彩友美】