<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク3-4巨人>◇30日◇ペイペイドーム

負け続けている巨人もプレッシャーだったろうが、勝ち続けているソフトバンクも重荷はあったろう。最終9回に1点差まで詰め寄ったが巨人戦の連勝は14でストップした。19年の交流戦から始まった打倒Gの連勝街道。2度の日本シリーズ4連勝もあって、何かと注目を集めたカードだったが、これでようやくひと区切りか。今秋、3年連続のシリーズ対決が結実するまで「因縁の戦い」はお預けである。

ホークスが強くて、巨人が弱いとは断言できないが、3戦目の先発メンバーを見ていると「生え抜き」(外国人選手は除く)の差を感じずにはいられない。巨人は吉川、岡本和、松原の3人。ソフトバンクは7番バレンティン以外は8人すべて生え抜きの選手たちだ。FA補強やトレードなど戦力強化を目指して各チーム編成を行っているだけに、生え抜きの多さがそのままチームの強さに直結するとは言い切れないが、選手たちの確実な成長とチームの「土台」がしっかりと固まっているという点ではアドバンテージがあるのではないだろうか。「チーム一丸」という精神的要素も作りやすいはずだ。

ホークスは対G15連勝でさらに波に乗りたかったろうが惜敗に終わった。「今年は交流戦がないのはさびしいよね。いつもきっちり勝ちよるもん」。6月開幕となった昨年、そう言って苦笑いしていたのは9月に急逝した故川村隆史コンディショニング担当(享年55)だった。5月30日は川村さんの誕生日だった。天国から見守る明るい「兄貴分」に白星はプレゼントすることはできなかった。

最終9回、先頭中村晃が内野安打で出塁。最も川村さんを慕った男の意地の一打でサヨナラ勝ちか? と気持ちも高ぶったが、あと1歩届かなかった。

「まあまあまあ、みんなようやっとりますわ」-。ゲームセットの瞬間、川村さんの声が聞こえた気がした。【ソフトバンク担当 佐竹英治】