新たな挑戦を宣言した直後、思わぬ人からエールが届いた。昨季限りで西武で現役を引退した野田昇吾氏(28)がボートレーサーを目指し、養成所に入所した。その一報を聞いた新庄剛志氏(49)が、SNSで反応。フォロワー20万人以上の新庄氏から、フォローまでされた。「すごくうれしいし、ビックリしました。まさか覚えてくれていたとは…」。野田氏が驚きを隠せないのも無理はない。

昨年12月、戦力外通告の後、12球団合同トライアウトを受けた。注目は、15年ぶりのプロ野球復帰を宣言していた新庄氏だった。神宮球場で何台ものカメラを向けられながら、そのチャレンジをどこか楽しんでいるようにも見えた。同郷出身という共通点もあって初対面ながら「福岡出身の野田です」とあいさつに向かうと、ピカピカに光る白い歯を浮かべながらひと言。「好きなことをして生きろ!」。ただただ、胸に響いた。

プロ野球選手としての人生に幕を下ろし、新たな挑戦に出た年末。わずか半年で24キロもの体重減量に加え、厳しいトレーニングを積んできた野田氏にとって、同郷の大先輩からの反応は特別なものがあった。ダイレクトメールでお礼を伝えると「自分が決めた道を楽しんで突き進め。必ずレース場に見に行くで!」と返事がきた。

10月からは養成所に入所する。夫人と生まれたばかりの子どもとは、離ればなれになる。1年後の来年9月、修了試験をパスすれば、早ければ同11月にプロデビューできる。すべてはそのためだ。「トライアウトのあの時の言葉が、ここでつながるとは思いもしませんでした。本当にありがたいです」。自ら決めた道。ひたすら、楽しんで突き進む。【西武担当=栗田成芳】