ほほ笑ましい競争が、続いている。オリックス山本由伸投手(23)と宮城大弥投手(19)。先発ローテーションを守る2人が結果を残し続け、お互いに譲らない。

山本は10勝5敗、防御率1・76。宮城は11勝1敗、防御率2・01。両者ともにかわいらしいキャラクターだが“化け物級”の成績を残している。

2人はパ・リーグの投手成績の主要部門で上位に陣取っている。勝ち星は11勝の宮城が1位。10勝の山本が2位。防御率は山本が1位で、宮城が2位。奪三振数も1位の山本が131、2位の宮城が98で続く。シーズンは残り50試合となったが、ペナント争いだけでなくタイトル争いからも最後まで目が離せない。

仲間であり、ライバル。良好な関係を築く。後輩の宮城に、山本のすごみを表現してもらった。「全部、すごいです」と一言で脱帽。詳しく聞いてみると「意図を持って練習しているのが、見ていて分かる」と熱く話し始めた。

1つは独自の調整法。「やり投げやブリッジ。全部、自分で何が必要かを考えてやっている。それで、結果も出ていて、影響力もすごい」と、宮城は分析。3学年上の先輩からは「自分の意思を曲げずに、続けること。(調整の)1週間で試合の全部が決まる」と助言ももらっている。さらに驚かされたことがある。「僕はチームの練習が終わったら1度そこで終わり。でも、あの人はチームの練習をしてきっちり終えて、そこからが自分の練習時間なんです」。

山本は日頃、爽やかな表情で宮城に厳しめな言葉を送る。今季でいえば「自分の防御率を抜いたら、口を利かない」だとか「後半戦の開幕投手は絶対に負けられないぞ」など。現在の先発ローテでは金曜日が山本、土曜日が宮城と登板日が並んでおり、20日に山本が10勝目を記録した際は「チームは3連勝中だからな~」と後輩に圧をかけていた。

取材中は明るい雰囲気で舞台裏を教えてくれる宮城は、今季ほとんどの“難問”をクリアしてきた。次はどんな試練を与えられるのか-。良い関係なのは、誰が見ても間違いない。【オリックス担当 真柴健】



※成績は8月21日時点。