適度な“エゴ”が光を見いだす。28日に26歳の誕生日を迎えた楽天小深田大翔内野手が、“2年目の壁”にぶつかっている。19年ドラフト1位で入団し、昨季は112試合に出場し打率2割8分8厘を記録。今季も開幕から正遊撃手として27日現在で105試合にスタメン出場する。だが、山崎剛の台頭もあり、ここ10試合でスタメン出場は2試合、代走で3試合、未出場が5試合とベンチを温める時間も増えている。

GM専任時代に自らドラフト1位指名した楽天石井一久GM兼監督(48)は2年目の“コブちゃん”の飛躍のカギに、ハングリーさを挙げた。

石井GM兼監督 今のコブちゃんの性格を、僕はすごくリスペクトしています。ただ、おとなしい子なので、俺が俺が、と他人を押しのけてはいかない。野球選手として、他人を蹴落としてまで、という気持ちを出していけば、もっといいプレーヤーになっていけると思います。

日頃から選手と言葉をかわし、それぞれの特徴を把握する。その中で「僕が1回投げたら1回返ってくるけど、向こうからはない。僕だけにではなくて、1球投げたら2球返せるような選手になってほしい」と積極的な会話のキャッチボールから、新たな発見や、のびしろを見いだすきっかけ作りにしてほしいと願う。

自身は22年の現役生活で日米通算182勝を記録した。「僕自身が他人を蹴落としてまで、と思ったことは一度もない。僕は思ったことがないのに、コブちゃんに求めるのもちょっと違うのかな」と前置きはしつつ「コブちゃんを見た時にそういう気持ちがあると、もっと上にいける」と長年の経験から、成長への方向性を示す。

指揮官は以前から「29から31歳くらいまでが選手として1番良い時期」と逆算し、チームづくりに励む。高卒、大卒、社卒問わずルーキーに“即戦力”としての期待はかけすぎず、未来を見据えた取り組みからぶれない。若手、中堅、ベテランがかみ合った時、目指した常勝軍団の姿が、はっきりと見えてくる。【楽天担当=桑原幹久】