皆様、これからお世話になります。11月よりスポーツ担当から野球担当に異動してきた上田悠太と申します。まずは11月1日から3日間、楽天の取材へ行きました。初めてのプロ野球取材。そこで感じたことを記したいと思います。

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長年、取材を続けている人、目の肥えたファンの方にとっては、至極当たり前の姿なのかもしれない。ただ、記者として初めて見たプロ野球の練習は、新鮮味に満ちていた。

その1つが涌井秀章投手(35)だった。その左手にはめられていたのは、キャッチャーミットだった。黒い革に、オレンジのひもが縫いつけられた丸く、分厚いそれは、すらりといかにもピッチャーらしい体形の大投手に似つかわしくないようにも見えた。映像や写真を通し、試合で投げている姿しか知らない記者の目には、不思議な姿として、すぐ目に飛び込んできた。外野芝でのノックを受けていた時も、キャッチボールの時も、ずっとはめたままだった。

スタンドで近くにいた広報担当の人に聞いてみた。「涌井さんはよくキャッチボールで使っていますね」。そう優しく教えてくれた。理由は「本人から直接」とのことだったが、さまざまな“可能性”も考えてくれた。

「左手を痛めないように気を使っているのかもしれないですし、もしかしたら、いい音で捕って相手に気持ちよく投げてもらいたい面もあるのかもしれないですね」。

また弊社楽天担当の記者にも聞いてみると、「左手主導で投げたいからかもしれませんね」とも言われた。

もしかしたら、一時のノリなのかもしれない…。そんな自らの浅い思慮を恥じるとともに、想像していない、その奥深さに驚かされた。過去のデータベースを調べてみると、キャッチャーミットでキャッチボールをする写真が多く出てきた。

その疑問のアンサーは、3日間では解決できなかった。結論なき文を世に出すことになってしまい、記者としては恥ずかしい限りであるが、細部に宿るプロの姿を知りたいと強く感じた初のプロ野球取材だった。【上田悠太】