<球春みやざきベースボールゲームズ:ソフトバンク0-8西武>◇23日◇宮崎アイビースタジアム

熱い人がソフトバンクの宮崎キャンプに帰ってきた。西武との練習マッチ第2戦。試合前の打撃練習では大砲候補のリチャードに熱視線を送った。打撃ケージ後ろから、スイングに目を凝らした。A組の練習が終われば、バットを片手にサブ球場に姿を見せた。小久保2軍監督と会話を交わしながらも、バットを振る選手に視線を送り続けた。昨年、阪神から移籍した中谷に歩み寄り「君はどんな打者になりたいんだ? 理想の打者像を持っているか?」。突然の質問に中谷も言葉に詰まったようだったが、身ぶり手ぶりで打撃について選手たちに熱く話しかけていた。

そう。王球団会長である。競争激化のサバイバル戦が始まった。生き残りをかけ、選手たちにはしっかりとアピールしてほしい…。そんな思いが王会長を動かしているのだろう。

「プロというのは目立たないとダメなんだよ。何か1つね。自分は何が売りなのか。足(走力)が売りなら足でもいいし、肩(強肩)なら肩でもいい。全部はできないんだから。『俺はこれだ!』というのをね」

漠然とした練習には意味はない。プロで生き抜く道、方法を自ら見いだしてほしい。キャンプインにあたって「王の教え」とも言うべき資料をチームに配布した。キャンプイン前夜の訓示でも王会長が強調していたのが「試合で打つため、抑えるために、どう練習するのか。練習のための練習はいらない」ということだった。

東京での所用を終え、対外試合に合わせて再度宮崎入り。西武との初戦(22日)こそ完勝したが、この日は投打ともにいいところなく敗戦。試合後は投手陣の輪に入っても熱く語りかけた。「みんなね、藤本監督になって頑張っているからね。競争が激しいことはいいことじゃないか」。試合は西武の前に0封負け。スタンドには寒風も吹き付けたが、王会長のチームへの気持ちは、誰よりも熱かった。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

練習試合終了後、ソフトバンク王球団会長は投手陣に話をする(撮影・梅根麻紀)
練習試合終了後、ソフトバンク王球団会長は投手陣に話をする(撮影・梅根麻紀)