ヤクルト高橋奎二投手(25)からの声掛けに一瞬、ドキッとしたことがある。5月18日阪神戦(神宮)の試合前、クラブハウス前で選手の出入りを見ていると、当日先発予定だった同投手から不意に「ニッカンのあれ、見ましたよ!!」と話し掛けられたのだ。

選手らとあいさつを交わし、時に軽い声掛けをすることはあるが、特に集中を要する、その日の先発投手に不用意に声をかけることはまずない。それが逆に話し掛けられた上に、直近で高橋投手に関する記事を書いた記憶もなかったため、頭の中には「?」が浮かんでいた。

だが少し話をすると、日刊スポーツの公式YouTubeチャンネルで公開された、高橋投手の母校・龍谷大平安高(京都)野球部の密着動画を視聴したことが分かった。当時はアップされて間もない時期だったが、同期のLINEグループで、すぐに情報が回ってきたという。「(原田英彦)監督、よくOK出しましたね。普通ああいうの(取材を)受けないですよ」と感心しつつ、ひたむきに白球を追う後輩の姿に「懐かしいなあ…」と青春時代を懐古。そして「監督が怒ってる場面とか見ると、今でも(気が)締まりますね」と引き締まったという。

同チャンネルには、日大三(西東京)、愛工大名電(愛知)、盛岡大付(岩手)など全国の有名校の選手に密着した動画がラインアップされ、注目を集めている。現在プロの第一線で活躍している選手たちも、高校時代は、こうした日々を過ごしていたかと思うと、感慨深いものがある。

さて、そんな高橋投手。話をした当日こそ3回6失点で敗戦投手となったが、交流戦に入って好調を維持。12日ソフトバンク戦(ペイペイドーム)では、レギュラーシーズン初となる完封を無四球で飾り、自己最多の5勝目を挙げた。25歳となり、大人の自覚も芽生え始めた同投手。若き日の思い出も忘れず、さらなる飛躍を期待したい。【ヤクルト担当 鈴木正章】

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