<ソフトバンク4-2オリックス>◇13日◇ペイペイドーム

悔しそうに敗戦のグラウンドを見つめる姿が印象的だった。8回115球の「完投負け」。オリックス先発の宮城は無言で三塁ベンチを引き揚げた。5連敗を止めたソフトバンクにとっては「鷹の祭典」での初白星でもあり、お祭り気分いっぱいだった。昨年の新人王であり、今季も2勝を献上している宮城だけに「難敵」を攻略しての白星は大きな1勝となったろう。

ただ、ゲームを振り返ってみると「次回」の対戦がさらに重要度を増すのではないか、と感じさせられた。リチャードの2発を除くと、初回先制の2得点は2つの相手失策から奪ったもの。チャンスで好打した野村大の打撃は称賛だが、立ち上がりの宮城を「攻めた」とは言い切れない。4回までに4失点した宮城だったが、中盤からホークス打線は完全に封じられた。5回からの4イニングは5三振を奪われ、パーフェクト投球。外野に1本も打球は飛ばなかった。

勝ちに不思議の勝ちあり…とはホークスOBでもある故野村克也氏の言葉だが、打撃不振が続くホークスには、この試合の前半、後半の「明暗」には、今後のためにもしっかりとした分析が必要だろう。チームは主力である栗原、上林の故障。さらに、コロナ禍での大量離脱が続き、投打ともに苦しい編成を余儀なくされている。総力戦を掲げる藤本監督にとっては「個」の力だけではなく「チーム全体」としての戦術、戦略をしっかり組み立てなければ、正念場の戦いは乗り越えられないのではないだろうか。

混戦の様相となってきたパ・リーグのV争いを抜け出すにはチームの「結束力」の強さが大きなカギを握る気がする。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

ソフトバンク対オリックス 1回裏ソフトバンク2死満塁、野村大は中前に先制2点適時打を放つ(撮影・梅根麻紀)
ソフトバンク対オリックス 1回裏ソフトバンク2死満塁、野村大は中前に先制2点適時打を放つ(撮影・梅根麻紀)