マイナビオールスターゲーム第1戦が26日、福岡市のペイペイドームで行われる。ロッテ小野郁投手(25)は急きょ、初出場することになった。監督推薦で選ばれた東條大樹投手(30)がコロナ禍で出場辞退となったためだ。

小野は「東條さんのことを考えると複雑な気持ちですが、東條さんの分まで頑張ることができればと思っています」と先輩を思いやった。ともに前半戦、リリーフ陣を支えてきた。東條はサイドスローからのブレーキの鋭いスライダーが有名で、必勝リレーの7回を任され続けた。

小野はまだ、必勝リレーには入っていない。「向かっている時は自分でも気負いすぎて力んだり、自分の力以上のものを出そうとした。いつ投げるにしても同じ精神状態で、同じ気持ちで投げられればもっといい結果が出たのかなと」。昨年の契約更改でそう話していた。将来の守護神候補ながら、まだ発展途上だ。

それが今季はここまで38試合に投げ、15ホールド、防御率も1・80。躍動感あふれるフォームから、直球は時に150キロ台終盤をたたき出し、制球が定まれば手のつけられない試合も出てきた。「去年は8回を任された時の信頼、持ってもらっていた期待を自分で消してしまったので、今年はそのポジション、勝ちパターンをいつでも任せてもらえるように」。年明けに話していた目標に、着実に近づいている。

あこがれの益田直也投手(32)からは「そんなに長くできるポジションでもないから」と、後継者候補の1人に期待されている。力みすぎず、クローザーとしての自信をどう身につけるか。勝敗をある意味度外視し、自慢の球をセ界へ思い切り投げ込む。今回の球宴が、飛躍の大きなきっかけになる可能性は十分にありそうだ。

福岡・久留米市出身で、高校は西日本短大付でプレーした。高校最後の夏、マメをつぶしながら血染めのボールを投げ込んだ精神力も光り、当時チーフスカウトだった永野吉成統括ディレクターも「何よりもハートがいい。気持ちが強い」とたたえていた。そこから8年、大きく成長して晴れ舞台に立つ。「地元で開催されるオールスターにもなりますので、自分らしく全力投球をしたいです」と意気込む。躍動感とスピードガンに注目だ。【ロッテ担当=金子真仁】