中日ドラフト4位の山浅龍之介捕手(18=聖光学院)は興奮を隠すことができなかった。中日が3月3日と4日に侍ジャパンと壮行試合(バンテリンドーム)で対戦。新人捕手は初戦は8回に代走で出場し、2戦目は8回から木下に代わってマスクをかぶった。

「これまで野球やってきた中で、周りにあんなお客さんがいる経験が今までなかったです。ベンチにいても緊張するし、グラウンドに出たら、また雰囲気もガラッと変わる。あんだけ音があって、あんだけ人がいてっていうのは経験なかった。雰囲気に圧倒されかけたところはありました」。

2日の合同練習でのライブBPでもマスクをかぶった。有観客で2試合とも大入り満員の3万5000人を超える観衆で埋まった。声援や鳴り物応援も復活。新型コロナ禍で高校時代を過ごした18歳にとって、何もかもが初体験だった。

マスクをかぶった2戦目は、ドラフト1位仲地礼亜投手(22=沖縄大)とバッテリー。8回無死一塁から万波に2点本塁打を被弾し、中野に死球を与えた。続くは3番・牧から村上、岡本和の侍主軸が控える場面だった。「打席の圧っていうか、オーラっていうか。感じたことがないぐらいすごかった。どこに投げたら抑えられるんだろうって思いました。仲地さん、砂田さんはいい球を投げる。かわして勝負するところは勝負して、意識してやりました」。3人を見逃し三振、一ゴロ、遊ゴロに打ち取り、侍ジャパンのクリーンアップを封じた。

日本代表の試合前練習もベンチから凝視し続けた。打撃練習はもちろん、一塁側ベンチ前での捕手練習も。「トップクラスがあれだけ集まって練習するのはここしかない。打撃の動きとか、スイングの強さとか。これぐらいになりたい明確な目標を立てたい。勉強できました」。ナイターの侍戦から一夜明けた5日は、経験を積むために、2軍の阪神との教育リーグに出場。興奮で数時間しか睡眠がとれなくても、言葉は途切れることなく口をついた。

高卒1年目で1軍春季キャンプを完走し、3月も1軍に帯同を続ける。「あの観衆の中でプレーを最後までやりきれた。あの雰囲気を味わえたのが、やっぱ一番大きかったかなと思います」。3月1日に母校の聖光学院(福島)を卒業。近い将来、侍ジャパンのユニホームを着るイメージが心の中に刻まれた。【中日担当 伊東大介】