ソフトバンク藤本博史監督(59)は以前、チームの懸念事項を明かしていた。7日、宮崎でのピックアップ練習の時だ。「何年も続く強いホークスで、右のバッターがいなくなるのは大変」。

現状、ホークスの主力打者は左打者が多い。周東、牧原大、近藤、柳田、栗原、中村晃…。右の大砲がいない。リチャードは2軍調整中。指揮官が期待を寄せているのが2年目の正木智也外野手(23)だった。

正木は慶応高で通算50本塁打、慶大でも東京6大学リーグ10本塁打を誇る。アーチストの才能はあるが、なかなか開幕戦から快音が響かない。「今年、頑張ってもらおうという選手の中の1人」。50打席はチャンスを与えるという「強化指定選手」になった。

学業と両立してプロ入りした慶応ボーイ。真面目な性格がゆえに、悩むことも多かった。凡打が続き、代打が送られればベンチで浮かない顔をよく見かける。藤本監督は「(今は)周りが打ってくれてるから、気楽にいけば良い」と、お父さんのような目で話していた。まだ2年目の23歳。小さくならずに、堂々と1軍にいていい。

指揮官は「結果アウトになっても内容が良かったなとか、雰囲気があるなとか。そういうものを首脳陣に見せて」とも話していた。チャンスは全員に与えられるわけではない。将来の右の大砲として、今は正木にうつむいている時間はない。【ソフトバンク担当 只松憲】