米国から逆輸入した苦労人ルーキーの活躍は、やっぱりうれしい。日本ハム加藤豪将内野手(28)のことだ。米大リーグのメッツ3Aからドラフト3位で入団。右脇腹を痛めて開幕戦こそ間に合わなかったが、5月31日ヤクルト戦(エスコンフィールド)ではNPB初本塁打を含む2打席連発と華々しい活躍ぶりで、一夜明けた6月1日には一部地域を除いて弊紙の1面を飾った。

加藤豪将が1面を飾った6月1日付け日刊スポーツ紙面
加藤豪将が1面を飾った6月1日付け日刊スポーツ紙面

東京版では、巨人坂本勇人内野手(34)の史上初となる通算2000試合出場を押しのけての“全国デビュー”。北海道以外で日本ハムの1面は弊紙だけだったようで…。そのことを加藤豪に伝えると「ありがとうございます」という御礼の後に「僕なんかで、日刊スポーツの売り上げは大丈夫なんですか?」と、逆に心配されてしまった。マイナー生活が長かったアラサールーキーは、とっても、つつましい。

日刊スポーツの売り上げを心配して宣伝してくれている?(本人インスタグラムから)
日刊スポーツの売り上げを心配して宣伝してくれている?(本人インスタグラムから)

1度話せば、誰もがきっと好きになる。そんな好青年なのだが、試合で着用するピンク色のリストバンドやレッグガードにも、ちゃんとした意味が2つある。「(背番号)3番を付けているので、同じくアメリカと日本でプレーした3番の田中賢介さんのことを思いながら」と、かつてピンク色をイメージカラーに活躍したOBで現球団スペシャルアドバイザー(SA)をリスペクト。「あとは、アメリカだと女性のスタッフだったりが、すごく多い。僕はアメリカで人種差別がある中で野球をずっとやってきて、マイノリティーの気持ちが分かる。(球界ではマイノリティーの)女性の気持ちを思いながら応援したいという気持ちで」と、勝負カラーに決めた。

31日ヤクルト戦でピンク色のリストバンドやレッグガードを着用し本塁打を放った加藤豪将
31日ヤクルト戦でピンク色のリストバンドやレッグガードを着用し本塁打を放った加藤豪将

弱者への目線が、なんとも優しい。彼がこれまで歩んできたつらい経験が、そうさせるのだろう。知れば知るほど、ますます応援したくなる魅力にあふれた選手なのだ。【日本ハム担当 中島宙恵】