自身の経験から、未来のプロ野球選手にアドバイスを送った。

1月14日、17チーム、88人の小学5年生を対象とした野球教室が開かれた。午前9時開始と朝早くにもかかわらず、稲毛海浜公園屋内運動場は活気にあふれていた。

子どもたち同様、笑顔が絶えなかったのは黒川凱星内野手(19)。この日はバッティングを指導したが、合間に雑談をするなど純粋に交流を楽しんでいた。「年も近いっちゃ近いんで。いろんな話してもらったんで、楽しかったです。あんまり小学生と関わる機会とかないんですけど、意外といけるなって思いました」と表情は晴れ晴れとしていた。

小学4年生の頃、黒川少年は参加する立場だった。江村直也2軍バッテリーコーチ(31)や阿部和成1軍サブマネジャー兼打撃投手(34)らに教わったのを今でも覚えている。「実演してもらった。投げるのも打つのも、やっぱスピードとか強さが、その時はなんかすごいなっていう印象」と当時を思い返した。小学生のみんなにアドバイスを送るとしたら「自分が後悔してるのは、やっぱりよく食べてよく寝るの、もっとちゃんとやっとけばよかったなって。ちっちゃい頃のそういう習慣ってすごい大事だなって今思ったんで。練習、練習っていうよりは、楽しい程度に練習して、ちゃんと食べてとか、ちゃんと寝てとかっていうのをやってほしいな」と自分の経験談も交えて語った。

今まさに黒川自身も食事面に気を使っている。ルーキーイヤーの昨季はファームで18試合出場。けがや体調不良で練習が出来ない日も多かった。「中高は油ものばっかり食べてた。食事のバランスが偏ると体調も優れないし、けがしやすい体になる」と積極的に栄養を取ることを心がける。

まずは好き嫌いをなくすことから。11月中旬、先輩選手やスカウトらに食事に連れて行ってもらった。いわゆる“良いすし屋さん”へ。「『すしか…』ってちょっと思った」と振り返る。実はすしが苦手。「ネタの種類をあんまり好まなかったっていうか、本当にマグロの赤身とかそういうのしか食べられなかった」と不安だった。だがその不安はすぐに無くなった。「『うまいもん食べたことないから苦手なだけだ』って言われて、食べたらめちゃくちゃおいしかったっす」と感激。食わず嫌いだったウニやいくら、青魚に舌鼓を打った。「刺し身とかもすごく栄養素的にも素晴らしいっていうか、食べないといけないんで。それを好んで食べられるようになったのは、結構僕の中ではでかいです」と笑顔を見せた。

あの頃の野球少年もまだまだ成長中。この日教えた子どもの中にも将来、ロッテに入ってくる選手がいるかも知れない。「そのときまでいなきゃいけないですね」。ロッテで野球を続ける理由が、また1つ、増えた。【ロッテ担当・星夏穂】

「千葉市ホームタウン野球教室」に参加しバッティングを披露する黒川凱星(2024年1月14日撮影)
「千葉市ホームタウン野球教室」に参加しバッティングを披露する黒川凱星(2024年1月14日撮影)