17日のドラフト会議に向け、指名候補を一気に紹介する。第2回は大学生の実力者。

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深めにかぶるヘルメットの下で、国士舘大・高部瑛斗外野手(4年=東海大甲府)は鋭い眼光で白球を待つ。瞬時に出すバットが捉えた打球は、強く低く飛んでいく。「プロになるためにこれまでやってきました」。照れのない言葉が、決意の強さを感じさせる。

親元を離れて野球に打ち込んだ高校時代、弟晴斗さんが倒れた。白血病だった。「つらいのに、応援してくれて。自分のことをずっと自慢してくれて」。甲子園出場、プロ入り。それが何よりの励みになると信じ、頑張ってきた。

晴斗さんは闘病の末に、3年前にこの世を去った。「弟のことは強く影響しています。絶対にプロになって活躍する」。今春、東都大学リーグ2部の通算安打記録(109本)を塗り替えた。集中力が際立つバットマンを、スカウト陣が見逃すはずがない。天国の弟に見守られながら、運命の時を静かに待つ。【金子真仁】

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大学生には、まだまだ好素材がいる。首都大学リーグを代表する右腕、日体大・吉田大喜投手(4年=大冠)もその1人。最速151キロの直球に、カウントに応じて微妙に握りを変えるスプリットを駆使。今春はリーグトップの防御率1・23、秋も大東大1回戦で3安打完封と、安定感は相変わらずだ。プロのスカウトからは「上位指名もある」の高い評価が聞こえる。

吉田の意識をさらに向上させたのは、今夏に大学日本代表に入ったことだ。「トップレベルの選手がたくさん。自分にない感覚を持っている人たちと話せたのは財産です」。中でも、大学NO・1投手の呼び声高い明大・森下の「変化球は直球の軌道に入れてから投げる」という言葉が印象に残った。「自分にはできないです」と正直に打ち明けるが、宝刀カットボールやチェンジアップの握りも習った。

高3時に大阪大会4強まで進み「公立の星」と呼ばれた。あれから4年。キラリと光る存在へと成長した。(つづく)

【古川真弥】

ドラフトファイル:吉田大喜
ドラフトファイル:吉田大喜