将来の日本を背負う若侍がいる。3月に予定されていた強化試合・台湾戦(東京ドーム)は新型コロナウイルスの影響で中止となったが、23年3月には第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開催が見込まれる。侍ジャパンの経験がない12球団の若手有望株にスポットを当てる「未来の侍たち」第7回。

2月25日、春季キャンプの手締めで声出しするDeNA牧
2月25日、春季キャンプの手締めで声出しするDeNA牧

DeNA牧秀悟内野手(23)が、侍ジャパンのポジションの中でも屈指の競争率を誇る二塁手争いに加わる。広島菊池涼、ヤクルト山田、楽天浅村、ロッテ中村奨らタイトルホルダーがズラリ。豪華なメンバーだが、昨季、打率3割1分4厘、22本塁打、71打点と活躍し、史上初の新人でのサイクル安打、新人歴代最多タイ14度の猛打賞など、幾多の球史の扉を開いた男も可能性を秘める。

DeNA牧の年度別成績
DeNA牧の年度別成績

3月に開催予定も中止が決まった台湾戦が、プロでの侍デビューになるはずだった。2月5日にDeNAのキャンプを視察した侍ジャパンの栗山監督は「みんな簡単に何となく言ってるけど、1年目であの数字に持っていくのは俺はあまり経験がないです。他のチームだって、絶対打たせないと必死になるでしょ。それを超えるものがあるわけだから」と認め、今後も注目する意向を示した。

中大時代には、国際試合での対応力の高さを証明した。大学3年だった19年の日米大学野球選手権に明大・森下(広島)、早大・早川(楽天)らと出場。全5試合中、2試合で3番、3試合で4番起用され、打率2割5分、1本塁打、5打点と勝負強い打撃で貢献し、3大会ぶりにチームを優勝に導いた。日の丸への思いに「立ちたい思いはあるので、目指していきたいです」と目を輝かせた。

1月末に新型コロナウイルスに感染し、キャンプへの合流は遅れたが、進化をアピールする。2月22日の広島との練習試合では1軍合流初打席で右翼ポール際へ1発。26日の日本ハム戦ではオープン戦12球団最速の適時打を放った。広角に打ち分ける打撃は健在で、オフには守備の名手の大和と自主トレ。攻守ともに磨きをかけ、来年予定されるWBCでの代表選出も現実味を帯びる。【久保賢吾】