将来の日本を背負う若侍がいる。3月に予定されていた強化試合・台湾戦(東京ドーム)は新型コロナウイルスの影響で中止となったが、23年3月には第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開催が見込まれる。侍ジャパンの経験がない12球団の若手有望株にスポットを当てる「未来の侍たち」最終回。

2月6日、フリー打撃をするロッテ藤原
2月6日、フリー打撃をするロッテ藤原

ロッテ藤原恭大外野手(21)は昨年、視界の先に何度もワールドクラスを目撃した。「ジャンプ力も瞬発力もあって、派手で、見ていてワクワクするようなプレーもしますし」。中堅から見る遊撃手エチェバリアの動きは、驚異的だった。

初海外は大阪桐蔭2年生だった17歳の時。高校日本代表に選出され、カナダでのU18ワールドカップ(W杯)に出場した。米国戦では「1番右翼」でフル出場。4打数1安打2三振だった。チームは2安打完封負け。藤原と報徳学園・小園(現広島)しか安打を打てなかった。

「これだけレベルの差があるんだな、というのは非常に感じました。体格もそうですけど、生まれ持った身体能力や体の強さとか」

かたや、自身は? 「コンディションとしては最悪でしたね」。初めての海外、慣れない生活。「日本とは朝も夜も食事が違うので、向こうではポテトくらいしか食べてなかったので…。本当にやせました」。身をもって世界を実感する約2週間になった。

プロ3年目の昨季は7、8月度の月間MVPを受賞し、爆発力を見せた。一方で、9月以降は打率1割未満に。最速170キロ級の打球速度を誇る強打者は、このオフ、持続力強化を課題に取り組んだ。「体はこれまでの3年間と比べて一番いい」と手ごたえを感じる。新たに背番号「1」を付け、期待もさらに高まる。

ロッテ藤原の年度別成績
ロッテ藤原の年度別成績

レギュラー獲得、優勝への貢献、その先に侍も夢見る。「いずれは入らないといけないと思っています」と明確で力強い。「走攻守を武器にずっとやってきているので、1つでも欠けたら選ばれる力はないと思っています」と客観視もする。18年のドラフト会議では1位指名で3球団が競合。ポテンシャルは誰もが知るところ。数字で力を示したい。【金子真仁】

(この項おわり)