センバツ出場校を決める選考委員会が今週27日に迫った。今年も出場32校を予想してみた。

 ちなみに12年以降の予想は、12年=3校外れ、13年=2校外れ、14年=1校外れ、15年=2校外れ。昨年はなんと4校(長田、開星、土佐、福井工大福井)も外してしまった。最初に選考される21世紀枠で間違えると一般枠に大きな影響が出ることを痛感させられた。

 まずは例年最も頭を悩ませる21世紀枠から。

 【21世紀枠=3校】

 不来方(こずかた=岩手)洛星(京都)中村(高知)の3校を予想。

 不来方は昨年の秋季大会で旋風を起こした。部員わずか10人で岩手大会準優勝。試合中は守備から戻っても最低1人は休まずにベースコーチに就かねばならない。さらにバットボーイも必要。捕手の防具装着なども控え選手がいないため大変だ。また故障者が出ると試合続行に支障が出るため普段から食事に気を使い故障しにくい身体作りを心掛けているという。こういった厳しい環境の中、県大会では5日間で延長戦2試合を含む4試合を戦い抜いた。その後の東北大会では初戦敗退を喫したが強豪の八戸学院光星(青森)に0-2と善戦。少人数でもやればきることを証明して見せた。岩手県紫波矢巾町にある県立校で普通科の中に芸術、人文、理数、外国語、体育の5学系制を取り入れている。推薦入試に野球部枠はなくすべて部員は一般入試の入学だという。少人数という困難を克服し結果も残した。同じ部員10人の洛星と被るものの、小比類巻投手を中心にチーム力も高いということから選ばれると予想。

 洛星も同じく部員10人で昨秋京都大会で8強入りした。「全員全ポジション野球」を掲げ、全部員が投手、捕手、内外野を守ることができるという。東大、京大などに多くの合格者を出す全国屈指の進学校。練習時間は平日で2時間と制約がある中、文武両道を実践。昨秋だけではなく近年好成績を収めるとともにOBも東大や京大などに進学し野球部で活躍している。ただ一つ気になることがある。01年から導入された21世紀枠だが、これまで私立校の選出は13年の土佐(高知)の1校だけ。私学勢には狭き門と言える。

 中村はオールドファンなら記憶に残っているはず。40年前の77年第49回大会に甲子園初出場。部員12人ながらエース山沖投手を中心に準優勝を果たし「二十四の瞳」で注目を浴びた。今回のチームも部員は16人。昨秋県大会決勝で明徳義塾に完封勝利し優勝。四国大会では初戦で英明(香川)に5-7で敗れたが実力は十分。少人数という困難克服、学業との両立、近年の好成績、地域一帯となった応援なども評価されており、3校の中では選出される可能性が最も高いとみた。

 この3校の他では石橋(栃木)も侮れない。文武両道の進学校ながら昨秋は栃木大会準優勝。関東大会は初戦敗退も準優勝した東海大市原望洋(千葉)と序盤は互角の勝負をした。エース竹内投手は丁寧に低めを突く投球が持ち味。この試合を観戦したが非常に好感が持てるチームだった。さらに昨秋台風被害で練習に制約がある中で北海道大会8強の富良野、文武両道で北信越大会でも1勝を挙げた富山東、岐阜大会で初優勝しサイド右腕の河地投手に力がある多治見、鳥取中部地震でボランティア活動を行った倉吉東(鳥取)、過疎と少子化の中、県大会準優勝の高千穂(宮崎)にも可能性がないわけではない。

<21世紀枠候補9校>

北海道=富良野

東 北=不来方(岩手)

関 東=石橋(栃木)

北信越=富山東(富山)

東 海=多治見(岐阜)

近 畿=洛星(京都)

中 国=倉吉東(鳥取)

四 国=中村(高知)

九 州=高千穂(宮崎)

 【北海道=1校】

 昨秋の北海道大会で優勝した札幌第一の2年連続出場が確実。明治神宮大会では宇部鴻城(山口)を破り8強入りした。準優勝は札幌日大。

 【東北=2校】

 昨秋東北大会優勝の仙台育英(宮城)と同準優勝の盛岡大付(岩手)を予想。仙台育英はプロ注目左腕の長谷川拓帆投手(2年)、西巻賢二内野手(2年)を中心に優勝を狙う。

 【関東・東京=6校】

 作新学院(栃木)東海大市原望洋(千葉)健大高崎(群馬)前橋育英(群馬)早実、日大三(ともに東京)を予想。

 例年21世紀枠に次いで頭を悩ませるのがここ。関東大会4強(作新、望洋、健大、育英)と東京優勝校・早実の5校までは問題なしも最後の6校目が難しい。東京準優勝の日大三か、それとも関東大会8強(準々決勝で敗退した4校=慶応、横浜、山梨学院、中央学院)の中からか。

 散々悩んだが日大三を選んだ。早実と戦った昨秋東京大会決勝戦が忘れられない。8回まで4-4。9回表に日大三が「デカプリオ」こと主砲・金成の適時二塁打で2点を勝ち越し。しかしその裏、暴投などで追いつかれると最後は野村にサヨナラ2ランを浴びて涙をのんだ。惜敗。どちらが勝ってもおかしくない好ゲームで、早実・清宮を5打席連続三振に仕留めた日大三のエース左腕・桜井の投球も見事だった。実力は互角とみた。

 一方、関東8強の中では地域性と関東大会での試合内容から慶応を最終候補とした。激戦の神奈川で横浜を破り優勝。エース森田、主砲正木ら昨夏から活躍するメンバーが残り実力は十分。どちらが選ばれてもおかしくないが、負けてなお強烈なインパクトを残した日大三がわずかに上とみた。

 ちなみに過去5年の最後の1枠選出校は以下の通り。

16年=花咲徳栄(埼玉)

15年=二松学舎大付(東京)

14年=横浜(神奈川)

13年=早実(東京)

12年=横浜(神奈川)

 12年の横浜は前年秋の神奈川大会で優勝し関東大会は8強止まり。最後の1枠を争ったのは帝京だったが、落選した前田三夫監督が残した「優勝しなければダメということ。(横浜は)優勝していますから」というコメントが忘れられない。かと思えば14年は関東大会の8強に県大会を制した平塚学園(神奈川)と東海大甲府(山梨)の実力校が残った。平塚学園を予想したが、選ばれたのは東京準優勝の二松学舎大付だった。

 【北信越=2校】

 昨秋の北信越大会を制した福井工大福井と、同準優勝の高岡商(富山)の2校が順当に選ばれるとみた。

 【東海=2校】

 昨秋の東海大会を制した静岡と、同準優勝の至学館(愛知)の2校が順当に選ばれそう。

 【近畿=7校】

 履正社(大阪)神戸国際大付(兵庫)滋賀学園、大阪桐蔭、報徳学園(兵庫)智弁学園、高田商(ともに奈良)の7校を予想。

 近畿大会を制した履正社が明治神宮大会で優勝したことで出場枠が6→7に増えた。6校目までは近畿4強以上の履正社、神戸国際大付、滋賀学園、大阪桐蔭と、地域性や試合内容から報徳学園と智弁学園で順当とみた。残る1校だが、力的には大阪大会で履正社を破った上宮太子だが、同一府県からは3校を選ばないという原則があるという。となると残るは高田商しかない。準々決勝で履正社に0-7と完敗も奈良大会準優勝、近畿大会でも和歌山1位の和歌山東を破って1勝。その実績を尊重した。

 【中国・四国=5校】

 宇部鴻城(山口)市呉(広島)創志学園(岡山)明徳義塾(高知)帝京五(愛媛)を予想。

 地区大会決勝進出の宇部鴻城、市呉、明徳義塾、帝京五の4校は確実。残る1校だが21世紀枠で中村(四国・高知)の選出が濃厚と見ており、最後の1校は中国地区から選ばれるはず。そこで準決勝で優勝した宇部鴻城と接戦を演じた創志学園を選んだ。

 【九州=4校】

 昨秋九州大会4強の福岡大大濠、東海大福岡、熊本工、秀岳館(熊本)を予想。福岡2校、熊本2校と地域的に偏ってしまった。福岡勢は決勝進出しており確実も、ともに準決勝敗退の熊本勢2校がやや不安。8強入りした佐賀商、鹿児島実、れいめい(鹿児島)鵬翔(宮崎)の中から逆転があってもおかしくはない。