交流戦前の最後の試合だったが、巨人は5位の中日に完敗した。敗因を挙げるなら、1回0/3 3失点で降板した先発の今村だろう。

失点したとはいえ、先発を任せた投手をこれだけ早く降板させるのは、ベンチに信頼されていないから。ここ数試合、結果も出ていない。結果が出ないから信頼されないわけだが、その要因は今試合でも明らかだった。

2回途中で降板する巨人先発の今村(撮影・足立雅史)
2回途中で降板する巨人先発の今村(撮影・足立雅史)

今村という投手は、真っすぐと多彩な変化球のコンビネーションで打たせて打ち取るタイプ。速い真っすぐがないだけに、変化球を生かすなら打者の内角を厳しく攻める必要がある。しかし、全32球中、打者の胸元のボールゾーンに投げた内角球は2球だけ。まったくといっていいほど、厳しく内角を攻められていなかった。

内角に投げた2球は、先制ソロを打たれたビシエドの2球目と、二塁打を打たれた高橋周の初球だった。この2球も厳しいというほどのコースではない。そして内角を厳しく攻められない投手が、早いカウントで投げたのだから、打者は「もう内角はこない」と割り切れる。ビシエドも外角のカットボールを右翼ポール際に打っているし、高橋周も外角の甘めの真っすぐを左翼線に二塁打。左右の打者がいずれも逆方向に長打を打っている。外角狙いは明らかだろう。根尾の中前適時打にしても、低めのフォークをうまく拾われたヒット。ここでも「内角球がない」と思われたから打たれたのだと思う。

2回裏中日無死、今村はビシエドに右越え本塁打を浴びる(撮影・加藤哉)
2回裏中日無死、今村はビシエドに右越え本塁打を浴びる(撮影・加藤哉)

今季の今村は4月中旬までは順調で、同じ左腕の高橋とともにローテーションを守っていた。肉体的にも精神的にも疲れが出るころだが、ここで自分が抑えるためには何が必要だか、考え直してほしい。今季の死球は2個だが、いずれも初球の抜け球だった。内角を厳しく攻めた死球ではない。高橋と比べても、明らかに内角を攻められていない。

チームは好調な阪神を追う立場。今村がこのまま勝てなくなると、逆転は厳しくなる。勇気を持って内角を攻めてほしい。(日刊スポーツ評論家)