近本光司外野手が故障により、出場選手登録抹消になった。今シーズン、1番打者としてチームを引っ張ってきた。有形無形の貢献度。監督の岡田彰布は近本の打順をほとんど変えることなく、1番で挑ませることにしていた。それが無念の離脱…。本人の悔しさは想像に難くないし、岡田もまた痛手を感じている。

ただし、こういうことが起きるのもプロ野球である。アクシデントは常に背中合わせ。岡田が前回監督の時も、久保田(現阪神1軍投手コーチ)の骨折離脱や新井(現広島監督)の離脱があった。特に新井の場合は深刻だった。腰に不安を抱えながら、出場したオリンピックで、腰を骨折。それが2008年のことで、阪神は優勝争いの真っただ中だった。

新井の長期離脱は、そのままチームの下降線につながった。結果、巨人の大逆襲にあい、まさかのV逸。岡田は責任を取り、監督を辞することになったわけだが、新井の故障は退陣のひとつの原因にもなった。

「監督として最も恐れるのは選手の故障よ。故障が怖いからといって、選手は手を抜くことはない。ある意味、不可抗力の部分はあるけど、やはり故障は最大の敵」。岡田はだから選手の体調を常に観察している。

貯金2ケタの中での今回の1番打者のリタイア。7月5日の広島戦では1番に起用した島田の先頭打者本塁打というタイムリーな働きもあったが、こればかりはそうそう続くものではない、と思っていた方がいい。やはり攻撃力はかなり落ちると判断するしかない。

こうなった場合、メジャーリーグではすかさず補強に乗り出す。優勝やプレーオフ進出の可能性があるチームは積極的に補強する。それが当たり前になっているが、日本球界ではそこまでなじみのないシステム。あるとすれば外国人選手の補強となる。

新外国人選手を獲得する場合の期限は7月31日まで。残りは1カ月を切ったことになる。阪神の場合、現在はノイジーとミエセスの2人。2軍には外国人野手はいない。岡田はいまのところ、可能性を残しながら我慢して起用している。ノイジーの場合、ここにきて上昇の気配を示すものの、打率が2割2、3分で本塁打が5本。まったくもって物足りないし、ミエセスは正直、将来性にかけた起用としか見えない。

DeNA、広島、巨人との差があまり広がらない現状。優勝争いは4球団という様相だが、阪神に絶対的な強みがある。それは投手力で、これは他球団を大きくリードしている。逆に弱みとなるのが攻撃力で、ここは岡田自身、悟っている。そこに近本の長期離脱? の現実。岡田はどう手を打つのか? そこが注目される。

過去、阪神では何度もシーズン途中の外国人補強を行ってきたが、野手に関しては成功例はほとんどない。シーズン途中に獲得できる外国人に多くを望めないというのが実際のところのようである。しかし、そんな中でも球団の外国人獲得部署は、あらゆる状況に備え、準備を整えている。残り1カ月を過ぎたのだから、獲得可能なリストアップはできているはず。それをどう活用するか。現場の監督の腹ひとつにかかっている。

ノイジー、ミエセスに対し、時に辛辣(しんらつ)な表現もするけど、岡田はほとんど寛容な姿勢を保っている。2人を2軍に落とすことなく、時々、先発から外しながら、起用を続けている。「これからよくなる。結果を残せる」という自身の見立てがあり、これはいまもぶれてはいない。

だが、ここからオールスターまでの前半戦の残り。攻撃力が改善せず、テコ入れが必要と判断した場合、「新外国人獲得」のニュースが飛び込んできても不思議ではない。

「外国人選手をそんなに多く取って、どうするの?」と岡田は昨年までの球団方針に否定的だった。それは少ない数でも十分に戦える…という自信があったから。それを貫くのか、それとも新たな力を求めるのか。改めて、期限は1カ月を切った。【内匠宏幸】(敬称略)