<イースタン教育リーグ:DeNA6-2巨人>◇14日◇横須賀

日本ハム、ロッテ、ダイエーで21年間の現役生活、ソフトバンク、阪神、中日で2軍バッテリーコーチを21年間(うち1年間は編成担当)、計42年間をプロ球界で過ごした田村藤夫氏(61)がイースタン・リーグ春季教育リーグのDeNA-巨人戦を取材。DeNA山崎康晃投手(28)のピッチングに注目した。

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7回から打者4人に投げて3三振という内容だった。山崎の実績を考えれば教育リーグで抑えたかどうかというよりも、ピッチングそのものの内容が大切になる。その点では、ストレートの球威がもう少しほしいとは感じるが、2月の2軍嘉手納キャンプで見たシート打撃の時よりも、コントロールは良くなっていた。打者4人のうち、3人にストライク先行していたところにも安定感があった。

ストレートは最速144キロ。山崎の150キロを知っているだけに、あと数キロの上積みを期待したいが、おそらく147~8キロくらい出れば球威としては十分と言える。ボールの力強さもあり、ストレートで空振りも取っている。

気になったのがツーシーム。山崎のツーシームは、フォークと同じ軌道を描くのだが、この試合では、ボールの変化を見ると134キロのボールがフォークと同じ軌道だった。その一方で、縫い目2カ所に指をかけるいわゆる一般的なツーシームと思われるボールが何球かあった。これは137~8キロ。軌道がフォークとは異なり、一般的なツーシームと感じた。バックネット裏でじっくり見たが、球種は本人に確認するのが正確だが、それができない現状では推測するしかない。セ・リーグの編成担当とも話してみたが、いわゆる一般的なツーシームではないかとの意見で一致した。

このボールが一般的なツーシームならば、この日の山崎はストレートとツーシームでカウントを取るピッチングができており、精度も試合で試せるレベルにある。厳密に見分けがつかず、この試合でのツーシームの割合までは分からなかったが、全17球のうち数球はツーシームを試しており、球種を増やそうという意図は感じた。

右打者の外角と左打者の内角はストレートでカウントを取り、右打者の内角と左打者の外角は一般的なツーシームでカウントを稼いでいた。

全球投げるごとに声を上げ、懸命に投げる姿は印象に残った。教育リーグで昇格へのきっかけをつかみたい山崎の必死さは伝わってきた。私がこの試合を見る限りでは、ストレートの球威があと少し出てくれば、1軍で投げるところまで戻ってくるのではないかと感じた。(日刊スポーツ評論家)