祝・令和元年ということでクイズから。阪神で令和最初の打点をマークしたのは誰でしょうか? この日大暴れの近本光司か。いや、糸原健斗? マルテとは違うな-。答えは梅野隆太郎。4回1死満塁から三ゴロを放ち、その間に阪神は令和最初の得点を挙げたのでした-。

チャンスで内野ゴロによる打点と言っても、そんなにうれしくはないのだろうが得点は得点だ。打撃好調でこの日も5番に抜てきされていた梅野としては、あの場面、最低限の仕事はしたと言える。これで1点差に迫り、5回の逆転につながっていった。

それはともかく。阪神で少しだけ面白い現象が起こっている。チームで打率トップはこの梅野だ。打率3割3分の堂々とした数字を残す。これに近本が3割2分7厘で続いている。チーム内の首位打者争いをこの2人で繰り広げているのだが、実はそれだけではない。

梅野はセ・リーグの4位、近本は同5位にしっかりランキングされている。トップは3割5分2厘の巨人坂本勇人だが、安打数は坂本が37、梅野が32、そして近本が33となかなか接近している。もし、この状況がシーズン終盤まで続いていけば、阪神の複数選手を含めたセ・リーグの首位打者争いが起こる可能性があるのだ。

この状況、阪神では2位になった10年にマット・マートンと平野恵一が、ヤクルト青木宣親を加えた3人で争ったのが最後かもしれない。ちなみに最終的な首位打者はもちろん? 青木で3割5分8厘の高打率だった。

「チーム内で首位打者争いですか。どうでしょう。でもチームの中にそういうのがあれば活気づくと思うし、刺激になるんじゃないですかね。でもきょう(1日)は打てなかったし。きのう(4月30日)も出なかったんで…」

平成から令和への元号替わり2試合で安打のなかった梅野は苦笑しながらも前向きに話した。それにしても阪神内でリーグの首位打者争いか。しかも課題だったセンターラインの2人で。おまけに伏兵? と言っては悪いが、予想で出てくる名前とは少し違っているかもしれない。そこがちょっと面白い。

令和初日とあって、夢のような話を書いてみたが、頼りになる福留孝介を休ませた試合でこの勝利を収めたことは間違いなく大きい。新陳代謝に苦しんだチームがあっという間に変わっていくのはこれまでも見てきた。梅野、近本に加え、糸原、大山悠輔、木浪聖也という面々で勝っていければ…。それが簡単でないのは分かっているのだが。(敬称略)

阪神対広島 4回裏阪神1死満塁、梅野の三ゴロの間に糸原が生還する(撮影・上田博志)
阪神対広島 4回裏阪神1死満塁、梅野の三ゴロの間に糸原が生還する(撮影・上田博志)