まさに「祭りの後」の気分だ。あれだけ血湧き肉躍ったサヨナラ勝利翌日は気が抜けたような敗戦になった。安定していた先発アルカンタラが誤算で1回に3失点。なかなか調子が上がってこない打線も、12球団でも1、2位を争うイケメンでは…とひそかに思っているDeNAの左腕・坂本裕哉を打てず、連日の逆転劇とはならなかった。

これで7月は5勝7敗。今月の残り試合は1つだけなので月間負け越しが決まった。3月=3勝2敗、4月=17勝7敗、5月=11勝6敗2分け、6月=12勝10敗1分けと勝ち越しが続いていたが、ついに負け越し。最近の失速を裏付ける数字だろう。

「負け越し」というワードでは、ここまで巨人に7勝8敗とリーグで唯一、負け越している。「勝ち越し」ばかりが目立っていた今季だが、ぼちぼち「負け越し」の見出しも目にしなければいけなくなってきた。

それでも面白い、というか不思議だなと思うのが巨人との“相性”である。以前にも書いたが、かつて阪神には「巨人戦疲れ」があった。往年の虎党ならご存じだろうが巨人戦の次はその結果にかかわらず、苦戦するというものだ。

注目される対戦の疲れが出るのでは…というジンクスだったが今季に限っては違う。阪神は今季、巨人戦直後の4カードは勝ち越しか1勝1敗。この日の敗戦を含めて、通算9勝4敗で大きく勝ち越している。

一方、巨人は逆だ。この日、ヤクルトに大敗。これで阪神戦の後は5勝6敗と負け越している。名将・原辰徳でも今季の阪神戦後は疲れるのか、などと思ったり。意外にこの辺りが阪神がフラフラしながらも“首位ターン”できた理由かもしれない。

これで60試合を残して勝率はジャスト6割。残りを30勝30敗の5割なら貯金16は同じで勝率は5割5分7厘。他球団次第ではあるが、優勝するには少し足りない数字だろうか。

「祭りの後」の気分と書いた。祭りはめったに来ないからこそ、来たときに楽しく盛り上がるものだ。普段はどちらかと言えば苦しく、つまらないことの方が多い。そんな中でどれだけ耐えていくか、だ。「もちろん、今、首位でいることは大事だけど終わって首位にいることが大事なんでね」。指揮官・矢野燿大が言ったのは当たり前かつ重要なことだ。苦しい時期を越えるしかない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対DeNA DeNAに敗れた矢野監督(左)はファンにあいさつする(撮影・上田博志)
阪神対DeNA DeNAに敗れた矢野監督(左)はファンにあいさつする(撮影・上田博志)