5日のヒーロー・インタビューだ。延長10回に1号決勝ソロを放った佐藤輝明が「明日も打ちます!」と元気に宣言していた。こういうのは阪神的にはよくない兆候というか最近の言葉? で言えば「フラグが立つ」などというらしいのだけど本当に打った。同点の7回に決勝2号2ラン。堂々、連日のヒーローだ。

なかなか面白い。正直言って、ヤクルトの投手陣に相当、苦しそうな部分があるのは見受けられるのだが、それにしても2試合続けて点の取り合い、そして決着が本塁打というのもプロ野球らしい。

「強くなってくると面白くない野球になる。おもろないんよ。オレもおもろないよ」-。指揮官・岡田彰布が開幕前、こんな意味のことを言っていた。

いまの阪神のスタイルは「投手を中心とした守りの野球」だ。これは緒方孝市(日刊スポーツ評論家)が広島監督として3連覇を達成したときのフレーズとまったく同じである。強いチームほど、その傾向になっていくのかもしれない。

そこからすれば、苦しみながら8試合目でようやく4勝4敗の5割に戻した今季の阪神、なかなか面白く感じるのも道理かも…。

そもそも昨年、中日に続いて本塁打の少なかった阪神(84本)が、6日ヤクルト戦が終わった時点でリーグ最多の9本塁打。このペースで行くと今季は160本超え…というのは妄想だが「どないしたんや」という気もする。

そんな中、手応えを感じるのは2試合連続で「1点差勝利」を収めたことだ。圧倒的に強かった昨季、1点差試合の結果は「25勝14敗」と貯金11。1点差勝利はチームとしての戦い方、指揮官のプランがしっかりと運んでいる証拠でもある。

そして、この日まで3試合連続の1点差決着で、その結果は「2勝1敗」となった。日本一に輝いた昨年のスタイルを少し思い出させる。昨季は先発、ブルペンとも投手陣がよく「先行逃げ切り」だったので、そうなると思うのだけれど、この2試合はいずれも逆転勝利である。

先制されても派手に打って、そこからしっかり抑えて勝つなんて、シンプルにおもしろいし、興行としても最高…とも思うのだけれど、とりあえず、いまは白星を重ねたい。ここはなんとか3戦目もとって「貯金1」で今季初の甲子園に臨みたいところだ。(敬称略)

ヤクルト対阪神 10回表阪神1死、佐藤輝明は右中間に勝ち越し本塁打を放つ(2024年4月5日撮影)
ヤクルト対阪神 10回表阪神1死、佐藤輝明は右中間に勝ち越し本塁打を放つ(2024年4月5日撮影)