守備の名手だった父の前で、クリーンアップの一角を担う「奈良原ジュニア」が、右に左に打ち分けた。西武奈良原浩内野守備走塁コーチ(47)の長男、堀越・奈良原稔也内野手(3年)が3安打1打点の活躍で、7回コールド発進に導いた。

 「3番二塁」で先発し、1回に右前打で出塁すると、2回1死一、二塁から左中間に適時二塁打を放った。外角直球を逆らわずにはじき返し「何が何でも勝ちたいと、気合入りました」と喜んだ。4回は左前打でチャンスを広げ、3打席連続安打で存在感を示した。

 父とは幼少時から一緒にバッティングセンターに通い、「右足を開かないように、と言われました。今も意識してます」と言う。当初は西武の練習予定だった奈良原コーチは、休日に変更になり、試合開始から観戦。「最後だから、悔いを残さないように全力でやれとだけ言いました」と活躍を見つめた。

 昨夏からレギュラーだった奈良原は、昨秋の都大会2回戦で父の母校、帝京に0-13で5回コールド負け。大会通算1安打に終わり「悔しくて、バットを振りました」。

 毎日練習後に午後10時まで、自宅前の道路で約1時間素振りして、課題だった打撃力を磨いた。ジュニアフードマイスターの資格を持つ母夕香さんの食事で、体重も4キロ増の62キロにアップ。身長は父を超える172センチになった。かつて父も守った二塁手として、守備でもチームを引っ張る。「入学した時は下手くそすぎて、誰も息子と気付いてくれませんでした」。打撃も守備も、努力を続けて、結果を出した。【前田祐輔】

 ◆奈良原稔也(ならはら・としや)1998年(平10)2月23日、兵庫生まれ。小2から投手兼遊撃手として野球を始め、武蔵野三中では「練馬中央シニア」所属。堀越では2年夏からベンチ入り。家族は両親、姉。172センチ、62キロ。右投げ左打ち。