山田が劇的な逆転勝ちを収めた。2点を追う9回2死走者なしから、4安打と敵失で4点を奪った。平館を下して3回戦に進出した。

 あきらめていなかった。あと1つアウトを取られれば敗戦。湊祥之介監督(23)は「うちの子たちを信じていました」。3番小林一真(3年)が内野安打で出塁。4番佐藤研史、5番大川朋宏(ともに3年)の連続三塁打で同点にすると、敵失と7番山崎昂太(3年)の三塁打で4点。土壇場の粘りと集中打で逆転した。

 7回に反撃のタイムリー三塁打を放った遊撃手の1番佐藤泰成(3年)が、三塁へ駆け込んだ際に両足をつった。その影響で同点の8回の守備では、三塁への悪送球で勝ち越し点を許していた。「あいつのせいで負けにしたくなかった。必死で打った」と佐藤研。9回の一打は、山田北小から一緒にプレーしてきた親友への思いを込めた。

 昨秋、部員は9人ギリギリだった。外野手がティー打撃で打つ強いゴロを、内野が捕球するなど工夫してきた。練習試合では湊監督が「3点、5点リードしても0-0と思え」と、選手に挑戦者の意識を植え付けた。今春の地区大会では、昨秋の東北大会に出場した宮古商を破った。

 1年生が入部し16人がベンチ入りする。試合後、うれし涙を流した佐藤泰は「思い出深い大会にしたい」と言った。その思い出は、劇的な勝利でまず1つ増えた。【久野朗】