今年も、清宮の夏がやってきた。早実(西東京)の清宮幸太郎内野手(2年)が18日、三重・熊野市で行われた招待試合で高校通算50号を放った。木本(三重)戦に「3番一塁」で出場。初回無死一、二塁で4球目を右翼ポール際に運んだ。

 清宮が、夏の到来を告げる花火を打ち上げた。木本戦の初回、カウント2-1から甘く入った直球をとらえた。高く上がった打球は両翼100メートルの右翼席ポール際に吸い込まれた。2年夏の地方大会前では異例の通算50発到達。「しっかりボールの回転もかかって、よく伸びてくれた。うまくさばけました」と喜んだ。

 100本の大台も見えてきた。くまのスタジアムは、当時高校最多の通算87本塁打を放った日本ハム中田が、大阪桐蔭3年時に84号をマークした。同じ招待試合の木本戦だった。侍ジャパンの4番も、2年夏の大阪大会前までは41発。はるかに上回るハイペースに「数字だけ聞くと、多いと思います」と言った。

 熊野は吉兆の地だった。中1時に家族旅行で訪れた。「熊野古道を少し歩いて、伊勢神宮も行った。その後リトルで世界一になれた」と振り返る。球場には、甲子園優勝校のパネルがずらり。「名だたる学校が招待されている。いい験担ぎになります」と笑った。

 楽天オコエを擁する関東第一(東東京)から放った第1号から、約1年2カ月。50発を積み重ねた日に、昨夏のU-18(18歳以下)日本代表で親交を深めた先輩がプロ1号を放った。「動画で見ました。完璧で、カッコよかったです。ちょっと離されたな、と思います」と、苦笑いで祝福した。自身の高校初アーチも振り返った。「何度見ても、ひどい打ち方。体が前に突っ込んでいて、あれでよく打てたと思う」と成長を実感していた。

 ノーシードで挑む2度目の夏は、7月10日の啓明学園戦から始まる。連覇のためには、7勝しなければならない。「神様が宿ると言われるこの地でパワーをもらって、甲子園につなぎたい」。偉大な先輩たちを超える戦いは、ここからが本番だ。【鹿野雄太】