大阪大会では、昨夏の準優勝校、大体大浪商が田村将大(しょうた)外野手(3年)の2打席連続アーチなどでコールド発進した。

 昨夏大阪準優勝、大体大浪商の5番打者田村の全打席はビックリの連続だった。左翼へ放った2回表の先制ソロが「公式戦初めての本塁打です」。4回、2打席連続の左中間2ランは「当然初めてです」。5回2死満塁で、左翼手の頭上を襲いフェンスを直撃した走者一掃二塁打は「たまにあります」。そして4打席目の7回無死一、三塁で敬遠ぎみの四球は「あれも初めてでした」。

 昨夏、大阪大会決勝に進出。5年ぶり24回目だったが、勢いに乗っていた大阪偕星学園に3-4で敗れた。背番号19でベンチ入りしていた田村は、ついに1試合も出場することがなく「(当時の)3年生の涙を心に刻んで」新たなスタートを切っていた。

 四田勝康監督(59)は「2年生の夏まで、田村は持っている力が発揮できなかった。その秋に殻を破った。スケールの大きい打者で1番か5番を考えています」と言う。夏初戦で3番岩川優作三塁手と4番溝端健太一塁手(ともに3年)が苦しんだ。「5回の無死満塁で、2人が凡退したあとの田村の二塁打。あれはよく打ってくれた」と、監督のフラストレーションを解消したのも5番のバットだった。

 今春は履正社がほとんど大差勝ちして近畿王者になった中、大阪準々決勝で2-4と唯一接戦を演じたのが大体大浪商だった。14度目の夏の甲子園へ。新5番の打棒爆発という一手で最高のスタートを切った。【宇佐見英治】

 ◆田村将大(たむら・しょうた)1998年(平10)7月24日、大阪・阪南市の鳥取東中出身。小3から野球を始め、朝日少年野球団(阪南市)-粉河シニア(和歌山県)。大体大浪商で1年秋と2年夏以降ベンチ入り。173センチ、75キロ。右投げ右打ち。