東東京大会では、東・鈴木誠也投手(3年)が先発し、5者連続含む7奪三振の「神ってる」投球で勝利に導いた。

 速球は最速でも130キロ台しか出ない。さらに、肩の痛みを訴え、この日は痛み止めを打って先発した。それでも鈴木誠也のボールが広尾学園を上回った。1回2死後から5者連続三振を記録した。被安打1本の7奪三振、無四球。「四球を出さないように投げました。神ってる? それは知らないです」。鈴木誠が照れ笑いを浮かべた。大差がついたこともあって4回、58球でマウンドを降りた。

 そんな投球を父政彰さん(47)がスタンドから見守った。「全力で投げられないんで、まあまあです」。誠也の名前をつけ、野球を教えた人だ。「誠実な人間にということで」と命名を説明したが、売り出し中のプロ選手と同姓同名になった。「二松学舎のときから知ってますが、全然格が違います」。

 広島鈴木は4年前、二松学舎大付のエース兼主砲で同じ東東京大会に出場し、ベスト8入りしている。プロ入り後、打者に転向した。4歳下になる鈴木誠も「二松学舎のとき見ていました。(投手として)速いし、打つし、やばかったです」。今、周囲からもよく冷やかされるという。

 昨夏は3回戦で学習院に敗れた。昨秋と今春の都大会はともにコールド負けした。今夏の目標は2年前の1つ上を行くベスト16進出だ。「向こう(広島鈴木)今すごいじゃないですか。次元が違います。でもオレもやってやろうとは思います」。最後の夏、注目される名前で、目いっぱい勝ち進んでいくつもりだ。【米谷輝昭】

 ◆鈴木誠也(すずき・せいや)1998年(平10)12月5日生まれ。東京・江東区出身。野球は小学1年から。父政彰さん(47)が指導する「やまと野球部」で始める。中学もクラブチームに属した。本格的に投手となったのは高校入学後。広島鈴木は「あこがれというより尊敬してます」。将来の夢は教員として野球の指導者になること。186センチ、71キロ。右投げ右打ち。