新発田南は、エース八幡蓮(3年)の公式戦初完封投球で新潟商を1-0で下した。4安打12奪三振の快投を演じた。父勝幸さん(39)は94年夏の新発田商エースで、兄竜さん(新潟医療福祉大1年)も昨夏の日本文理の背番号1。エース一家の次男が、雨のマウンドで躍動した。

 ボールを投じる左腕に、八幡は気持ちを込めた。強気の投球で新潟商打線を攻めた。5回までは毎回の10奪三振。右打者には勢いのある直球を内角に投げ込み、のけぞらせながら見逃し三振を奪った。「昨年までは内角に投げられずに外角に頼っていた」。投手として進化を遂げて、公式戦初完封をやってのけた。

 「まず、その回の先頭打者を切ること。ピンチになったら強気でいくこと」と八幡は二段構えのプランを立ててマウンドに臨んだ。7回には2死二、三塁のピンチ。無死からの走者も1、8、9回に許したが、表情ひとつ変えなかった。「テンポを変えたりして投げた」と冷静な投球も見せて0点に抑えた。

 午前6時20分に学校を出発したバスの移動中に、兄竜さんから「頑張れ」というLINEが届いた。昨夏準優勝した日本文理エースの兄からの励ましに闘志を沸かした。父勝幸さんも新発田商の左腕エースで94年夏に3回戦進出しているだけに家族の期待は大。「小学時代は小さくて、塁間にボールが届いたのは小4の時」という新発田南のエースが父と兄が果たせなかった甲子園出場の夢を背負う。

 倉繁正志監督(47)は「全試合、投げるつもりで準備をしろと言ってある」とエースに絶大な信頼を置く。6四球で走者を許したが、指揮官は「四球も連続で出さなけれは抑える力はある」と能力を買っていた。「最終的に点をやらなければ勝てる」と八幡は次もスコアボードに0を並べる構えだった。【涌井幹雄】