創部100周年の釧路湖陵は17年ぶりに北大会で白星、クラークは3季通じて道大会初勝利を挙げた。

 道東屈指の進学校、釧路湖陵が昨年覇者の白樺学園を、苦しみながらも撃破した。最大7点リードを奪いコールド勝ち間際も、終盤に反撃され9回に1点差まで詰め寄られた。昨夏の甲子園メンバー5人が残り、今春の全道4強入りの相手からの金星。主将の島脇は「楽しかったです」と、すがすがしく笑った。

 9番打者の満塁弾が効いた。5-2で迎えた6回1死満塁。4連打でつくったチャンスで打席に立った佐藤の打球は、左翼スタンドに吸い込まれた。北大会では6年ぶり8人目の満塁本塁打。「ガッツポーズをしたかったけど、しちゃいけない決まりなので」と、ぐっとこらえ、笑顔でダイヤモンドを回った。ベンチに戻ってから仲間とハイタッチをして、喜びを爆発させた。10年前、夏の甲子園決勝、駒大苫小牧-早実戦をテレビで見て感動し、サッカーをやめて野球を始めた。「勝てない相手ではないと思っていた」と勝利を信じた結果だった。

 直前での特別練習の成果だった。この日午前6時前から行った練習で左腕対策に取り組んでいた。相手先発に牧野を想定していた。左投手がチーム内にいないため、奥田康夫部長(42)が打撃投手を務めた。島脇は「普段、左の練習が全然できなくて。先生に投げてもらって慣らした」。牧野は先発ではなかったが6回の佐藤の打席からマウンドに上がった。約1時間、ナインのために汗を流して投じてくれたその思いを込めた打球だった。

 創部100周年の記念すべき年、今季から着用するTシャツには金色で「歴史を変える」の文字をプリントした。佐藤は「甲子園に1歩近づいた」。北大会最高は85、87年の2度の準優勝。金星の勢いに乗り、100年の歴史を変える年にする。【保坂果那】