第89回選抜高校野球大会(19日開幕・甲子園)に出場する不来方(こずかた、岩手)が12日、東邦(愛知)と愛知・東郷町の同校グラウンドで練習試合を行い、2本塁打を含む14安打で7点を奪った。2番桜井琉太郎内野手(3年)と3番菊池康太捕手(3年)がともに2ランを放った。大会第5日(23日予定)の静岡との1回戦を前に、自慢の打線が調子を上げてきた。試合は7-11で敗れた。

 開幕を1週間後に控え、不来方打線がエンジン全開だ。過去にセンバツで4度の優勝を誇る名門・東邦相手に2ラン2発を含む14安打を浴びせ、7点をもぎ取った。小山健人監督(30)は「びっくりした。予想以上。力負けするのは嫌だった。臆せずやってたのは良かった」と素直に驚いた。

 1本目は菊池康のバットから生まれた。3-2で迎えた2回2死一塁。相手エース右腕の真ん中低めの直球を強振した。「手応えはあった。冬の成果が出た」。冬場はチームとして練習の合間に1合の白飯を補食に取り入れ、体重増を狙った。菊池康は昨秋から5キロ増の73キロまで増量。練習試合2戦連発弾を放ち、10打数5安打4打点2本塁打と調子を上げている。

 2本目はこの冬で6キロ増量して74キロになった桜井がぶちこんだ。8回2死一塁。静岡のエース左腕・池谷蒼大(3年)をほうふつとさせる左上手投げの投手から高校初本塁打を放った。「真ん中低めの直球。外野の頭を越えるとは思ったけど、入るとは思わなかった」と目を丸くした。

 冬場の遅れを取り戻すために、2月下旬に行った愛知合宿の成果が早速出た。130キロに設定された打撃マシンをひたすら打ち込んで、実戦感覚を取り戻していた。一方、課題の守備では失策が相次いだ。菊池康は「私立の強いところから打てたのは自信になるけど、14本打っても負けた。もっと打って勝ちたい。とことん振っていくのには変わりない」と気を引き締めた。【高橋洋平】