全道10地区のトップを切って札幌地区で代表決定戦が行われた。Dブロックは北広島が10-0の5回コールドで札幌稲雲を下し、00年以来17年ぶり3度目の全道大会出場を決めた。3番久保田智貴捕手(3年)が2点本塁打と、コールド勝ちを決める適時打で3打点と活躍した。

 北広島が4戦計44得点と猛打で全道切符をつかんだ。3回、1点を先制しなおも1死二塁、久保田の打球は一直線に左中間スタンドに吸い込まれた。「リラックスして振り抜けた」。打線もつながり一挙7得点。9-0の5回2死二、三塁では左越えに適時打を放ち、コールド勝ちを決めた。

 牧場育ちのパワーがさく裂した。久保田の両親は千歳市内で牧場を営む。幼稚園の頃から早朝5時に起き、約50頭の牛の腹の下にもぐり、搾乳機を装着する作業をしてきた。「下半身強化に役立った」。スコップで約10キロの餌をすくい乗せ替える作業は、リストと背筋力強化につながった。

 練習後は午後9時過ぎに帰宅して約1時間勉強をし、午後11時半に就寝して朝5時に起きる。「子供の頃から早起きは慣れている」と満点の孝行息子。野球では弱点があった。森田有監督(41)は「力はあるが、すぐ打ちにいってしまう。我慢ができなかった」と指摘する。昨夏の南大会は2年生で4番を務めたが、初戦の北海道栄戦は早打ちが響き2打数無安打だった。

 冬場から4月末までは同監督の方針で「力があるチームに勝つには体力をつけること」と、土、日曜の練習試合以外、ほぼ筋トレのみのメニューが組まれた。久保田はスクワットで15キロ増の155キロまで数値を上げた。「ボールを使えないことで忍耐力と集中力も上がった」と同監督。力を効率よく引き出す精神的な成長も促した。

 久保田の兄裕貴さんも同高野球部OBで現在、弘前大で看護学を学ぶ。「将来は兄のように看護師になり人を助ける仕事をしたい」。この春、まずはバットでチームを救い、目標の全道4強に導く。【永野高輔】