寝たきりの状況が1週間続いた。容体が安定した後も、ストレスで10円玉ほどの円形脱毛症ができた。そんな八幡を3年生の仲間が救ってくれた。毎日必ず誰かが見舞いに駆け付けた。中毛リーグを優勝した時は、3年生全員がトロフィーを持って報告に来てくれた。「いつも『早く元気になれよ。待ってるぞ』と言ってくれました。仲間の存在は大きかったです」。医師も驚く回復を見せ、10月から一部練習に復帰し、12月からは他部員と同じメニューをこなすようになった。

 迎えた最後の夏、野球ができる喜びを誰よりも感じている。「笑顔を絶やさずに、楽しんでプレーしたいです。今度はチームが苦しいときに、自分が全力で盛り上げていきます」。八幡の笑顔が続く限り、前橋は負けない。【太田皐介】