夏初シードの磐田東が、12点差を逆転して3回戦に進出した。延長11回、静岡大成に16-15でサヨナラ勝ちした。3回表の時点で2-14にされながら、ジワジワと点を重ねて8回裏に勝ち越し。9回表に追いつかれたが、「諦めない力」で両校計42安打の乱打戦を制した。

 激闘に終止符が打たれたのは、開始から3時間41分後だった。無死一、二塁。打席には途中出場の武内勇賢(2年)が入った。「打った球は覚えていないです」。無心でスイングし、捉えた球は右翼手の頭上を越えた。二塁走者の寺田祐貴(3年)が、ゆっくりと生還。歓声で球場が包まれる中、寺田は半ば放心状態になっていた。

 「疲れました。最後は全力疾走したのですが、仲間から『思い切り走れ』と言われてしまいました。勝利を喜びたいけど、今日は反省が多いです」

 初シードで自信を持って臨んだ初戦で、最大12点差をつけられた。3回表、打者15人に7安打3失策で10失点。2-14にされた。だが、試合は序盤。ベンチでは「とにかく1点、つなぐ野球をしよう」と声を掛け合い、3回に2点、4回に1点、5回に1点を返した。6回には打者一巡で4点。さらに7回の2点、8回の3点で試合をひっくり返した。9回に追いつかれるも、最後は底力を発揮して大逆転勝利の完結。山内克之監督(62)は「今日はありえないミスが出て、開き直るしかなかった。まずは5回と7回のコールド負けを阻止することを優先させました」と振り返った。

 相手の流れを止めたのは、5番手で登板した2年右腕の永野竜成投手(写真)だった。「(エースの)今口(颯真=2年)が打たれて、自分が止めてやる」と気持ちを奮い立たせ、全力で腕を振った。4回2/3を投げ、失点2も4回から7回を1安打に抑えた。「今日は直球が良かった」。

 終わってみると、磐田東23安打、静岡大成19安打の大乱打戦。チーム最多の6安打6打点の寺田は「今日で夏の雰囲気も分かったと思う。次は引き締まった試合にしたい」と気持ちを切り替えていた。【大野祥一】