ドラフト候補の木更津総合(千葉)山下輝投手(3年)は、東京学館浦安戦で5安打10奪三振完封。3回をのぞく毎回三振を奪い2季連続の甲子園出場へ勢いづく。

 ランナーを出すとギアを上げた。木更津総合の山下が、プロ注目左腕の片りんを見せつけて、5安打完封に仕留めた。「スライダーをストレートと同じ腕の振りで投げるように修正して、三振が取れました」と、9回最後の打者を三振で締めて、2桁奪三振に乗せた。

 最速は146キロだが、常時140キロ前後の直球で押した。4回以降は得意のスライダーを効果的に使った。この回1死二塁から連続三振、7、8回も走者を許してから三振を奪い、ピンチを切り抜けた。三塁を踏ませぬ好投で、チームをベスト8へ導いた。

 前回登板からの修正が生きた。18日の幕張総合戦は6回5安打7奪三振と悪くはなかったが、直球とスライダーで腕の振りに違いが出た。そこをズバリ指摘してくれたのは父直人さん(50)だった。

 小学3年で野球を始めてから、父と二人三脚で歩いてきた。野球未経験者の父は、毎夜、家族が寝てから野球の勉強に励んだ。山下も幼少時の父をよく覚えている。「夜中、トイレに起きると、部屋から明かりがこぼれていて、のぞくと父がネットの動画を見てメモを取ったり、絵に描いたりしていた。本当にうれしかった。父のためにも頑張ろうと思いました」。今ではドラフト候補に名前が挙がるほど成長した。

 お手本となるフォームは、父が得意な絵で教えてくれた。小、中学校時代は上半身と下半身の使い方を重点的に教わり、昨秋からはフォーム作りに取り組んだ。今でも、山下の部屋には、父が描いたピッチングフォームの絵が、ズラリと貼ってある。この日も2人の反省会を行い、昨夏決勝で対戦した市船橋に挑む。【保坂淑子】