第99回全国高校野球選手権(8日開幕、甲子園)に出場する日大山形が5日、西宮市内で9日の明徳義塾(高知)との1回戦に向けて静かに闘志を燃やした。敵将の馬淵史郎監督(61)特有の、相手を挑発する「馬淵節発言」がインターネット上でにぎわっているが、日大山形は冷静に受け止めていた。荒木準也監督(45)は4日の組み合わせ抽選会後のミーティングで闘魂を注入。キーマンに1番鈴木琉生外野手(3年)を指名し、相手の挑発に乗らずに初戦突破を狙う。

相手のことは眼中になかった。明徳との対戦が決まって一夜明け、荒木監督は泰然自若としていた。馬淵監督が「大阪の太った監督のところ(大阪桐蔭)と当たらなくてよかった」と発言したり、13年夏の準々決勝で日大山形に敗れたことについて「あのときはナメとった」と挑発してきたが、荒木監督は「いつものこと」と動じる様子はなかった。むしろ敵将の盤外戦を逆手にとって、抽選会後のミーティングでチームを鼓舞していた。

 「世間から見たら、明徳が勝つと思われている。やる前から気持ちで負けていたら何も始まらない。やるべきことをやって一戦必勝。きれいな安打はいらない。泥臭くやっていこう」

 そして、打倒明徳のキーマンには1番鈴木を指名した。荒木監督は「鈴木がしっかり打って出塁すると、チームは流れに乗りやすい」と、昨秋は4番を務め、今夏の山形大会で3割8分1厘と当たっている長距離砲に期待した。この日、鈴木のフリー打撃時には荒木監督が自ら打撃投手を務め、状態をチェック。「相手が決まって、ここでスイッチが入ってないと駄目。8割ぐらい打てている」と太鼓判を押した。

 鈴木も既に闘志を燃やしている。「甲子園では名前のある強豪とやりたかった。挑戦者として挑むだけ」。既に動画サイトで相手投手を研究済みで「四球じゃなくてワンパンチ打てば、チームは勢いづく。前(13年)は8強で勝っている。勝ってウチが強いと証明したい」と自信を見せた。相手の挑発に乗ることなく、逆に鈴木の長打で、相手を慌てさせる。【高橋洋平】