“ひみつのユウタ君”が強力な神戸国際大付投手陣を打ち破る。第99回全国高校野球選手権に出場する南北海道代表・北海が7日、奈良県三郷町内の室内練習場で約2時間の練習を行った。クリーンアップで唯一甲子園出場のない5番渡辺佑汰右翼手(3年)は「情報が少ない自分の方が3、4番の後で勝負される回数は増える。そのチャンスを生かして勝利につなげたい」と意気込んだ。

 6日夜には、神戸国際大付の分析映像が宿舎に届き、相手エース岡本の投球を確認した。「制球力が高く球速もかなり速い。低めは手を出さないように。その中に浮いてくるボールが少しだけどあるので、そこを見逃さないように」。昨夏甲子園2連発の3番川村、昨夏に続き4番を担う佐藤とは相手に与える情報量が圧倒的に少ない点を生かし、意表を突く一撃をかます。

 長打力、強肩ともに1年から非凡なものがあった。1年秋、1学年上のエース大西とバッテリーを組んだのは現在正捕手の佐藤ではなく渡辺だった。だが、地区初戦敗退。平川監督は「能力だけでやっていた。必死さが足りなかった」と2年春、夏とメンバー外にした。「そのままじゃダメだよ」と突き放し、筋トレの意味から私生活での意識の持ち方まで徹底して改善を促した。

 最後の夏を迎え「考え方が変わった。スイッチが入った」と同監督。心を改め右翼手に転身した秘密の5番が、地元兵庫の難敵に魔法をかける。【永野高輔】