剛腕が名誉挽回のマウンドに臨む。全国高校野球選手権新潟代表の日本文理は、17日の2回戦で夏準V2回の強豪・仙台育英(宮城)と対戦する。1回戦の鳴門渦潮戦(12日)で先発した最速148キロ右腕鈴木裕太投手(2年)は14日、兵庫・鳴尾浜臨海運動公園野球場での練習で60球を投げ込んだ。1回戦は2回0/3を1安打2失点2四球で降板。投球動作の癖を審判から指摘された後、気持ちを切り替えられなかった。その課題を克服して臨む2回戦、強豪に真っ向勝負を挑む。

 丁寧に力強く、鈴木は投球練習を行った。ブルペンに入り、40球ほどフォームチェックのキャッチボールをした後、捕手を座らせて60球。「ほとんどストレートです」。自慢の直球を徹底して投げ込んだ。

 その中で、投球動作の始動に細心の注意を払った。ボールをグラブに収めて右手を離し、サインを決めてからボールを握る。1回戦後、鈴木崇コーチ(36)に相談して決めた流れだ。これを繰り返して放った。

 先発した鳴門渦潮戦、1回を3者凡退に抑えたところで、球審からサインを見ながら投球動作に入る癖を注意された。「気になってしまった。切り替えられなかった」。1回、直球はこの試合最速の145キロを記録。だが、2回以降に140キロ台は出ていない。3回裏に安打と四球で無死一、二塁としたところで降板。試合に集中できない自分の甘さを悔やんだ。

 仙台育英戦は自身へのリベンジでもある。普段、試合2日前なら30球ほどで調整するところ、倍の球数を投げて修正したフォームを固めた。「自然とできるようになった」と不安は解消された。先発は未定だが、「相手は強力打線のイメージがあるけど、真っ向勝負する」と、意気込みは1回戦以上だ。

 大井道夫監督(75)は「新潟にも150キロ近い球を投げる投手がいる。それを甲子園で見せたいと思っている」と鈴木の底力を買う。背番号18ながら、エースの稲垣豪人(3年)を救援に回しての初戦先発だった。期待の大きさは自覚。「甲子園のマウンドを、このままでは終われない」。意欲を結果で示す。【斎藤慎一郎】