柴田が優勝候補の東北を3-2で撃破し、波乱を起こした。4回、相手の失策で得た好機に3点を先制すると、エース左腕柴崎倭(2年)が9回完投で守りきった。夏準Vの相手エース左腕葛岡仁(2年)とは中学時代からのライバルで、しのぎを削った間柄。投げ勝った自信を胸に、目標の東北大会進出へ勝ち進む。

 最後の打者を左飛に打ち取ると、それまでのクールな表情がほころび、笑みがこぼれた。東北は、旧チームからダブルエースとして君臨する葛岡、古川原将真の両左腕に加え、野手には昨夏甲子園経験者の杉沢龍内野手(いずれも2年)、今夏1年生でスタメンに名を連ねた伊藤康人外野手などタレントがそろい、優勝候補の一角と見られていた。柴崎は「少し甘いところに投げたら簡単に打たれる怖さはあった。最後は『絶対勝つ』という気持ちだけで投げた」と強気にストライクゾーンに投げ込んだ。

 ライバルに、ようやく投げ勝った。東北の葛岡とは中学時代にも対戦経験があり、その時は葛岡が勝利。ともに選出された宮城県選抜チームでも主戦格は葛岡だった。「お互いに連絡を取り合う仲だけど、いつか絶対投げ勝ちたいと思っていた」と闘志を燃やしてマウンドに立ち、計8四死球と再三ピンチを背負ったものの「ランナーを出すのはいつものこと。割り切って目の前の打者に集中した」と最速130キロの直球に決め球のスライダーを織り交ぜ、投げ勝った。

 7月初旬、バント練習で左手人さし指を骨折。夏の県予選で2番手として期待されていたが、ベンチ入りメンバーから外れ「悔しかった。秋は必ずチームに貢献出来る投球をする」と奮起。下半身の筋力トレーニングを地道に行い、この日の快投につなげた。

 柴崎は「目標は東北大会出場。今日は自信になったが、これで満足せず次もしっかり投げる」と13年以来4年ぶりの東北大会出場をつかみ取る。【林野智】