初出場の聖光学院(東北・福島)が創成館(九州・長崎)に4-6と力負けし、神宮初勝利はならなかった。先発のエース右腕衛藤慎也(2年)が初回に3連打を浴びるなど大乱調。1回2/3で4失点KOと誤算だった。自慢の強力打線も散発8安打4得点。悲願の日本一に向けて、投打に課題が露呈した。

 秋の東北王者・聖光が投打に力負けした。4-6の9回2死二、三塁、主将の矢吹栄希内野手(2年)は一打同点の場面で空振り三振に倒れ、試合後に悔し涙を流した。打っては無安打、守っても初回に先制につながる失策を犯した。「人間的な弱さと甘さが出た。この悔しさをセンバツに生かさないと神宮に出た意味がない」。2年生で唯一、今夏の甲子園を経験した主将が悔しさをにじませた。

 大黒柱の衛藤も調整に失敗していた。10月18日の東北大会優勝後の1週間はノースロー。7月に右肘を手術したばかりの衛藤を休ませる判断だったが、裏目に出た。再び投げ込みを始めても、今秋41回6失点の安定感は戻らなかった。2日前に投球VTRを確認した衛藤は「下半身がバラバラ。調子が良くないのは分かっていた」と不調を自覚していた。斎藤智也監督(54)も「休んだ分、感覚的なものが狂ってしまった。開き直って何とか投げてくれないかなと思っていたら、駄目でしたね」と調整ミスを認めた。

 初回に3点を許し、今秋10戦目、通算66イニング目に初のリードを許した。追う展開にはまり、自慢の強力打線は沈黙。「近年最強」の呼び声高いクリーンアップは1安打に封じられた。斎藤監督は「矢吹は最後の場面でぶち込める選手にならないと。期待している。いい教訓になってほしい」と前を向く。神宮で噴出した投打の課題解消なくして、日本一は見えてこない。【高橋洋平】