静岡の最速144キロ左腕池谷蒼大投手(3年)が14日、ヤマハ入社が内定した。同社野球部は昨年社会人野球日本選手権に優勝。今秋の中日ドラフト1位、鈴木博志投手(20=磐田東)らを輩出しており、池谷も3年後のプロ入りを目指す。

 県高校N0・1左腕の池谷が選んだのは、地元企業のヤマハだった。

 「(今春の)センバツで投げた時に、まだまだ上がいると実感しました。社会人はプロに一番近いステージ。3年間しっかり自分を磨いて、あらためて挑戦していければと思います」

 浜松市生まれの池谷にとって、ヤマハはなじみ深いチームだ。小学時代にはヤマハ主催の野球教室に参加した。「その時から明るい雰囲気で、(高校野球引退後に)練習を見に行った時も、のびのびした中に程よい緊張感がありました」。

 練習参加の際には、鈴木博のブルペン投球を間近で見た。「練習から意識が高く、球の質も別格でした。ああいう堂々とした投手になりたいと思いました」。技巧派左腕の九谷青孝(はるたか=28)の制球力にも目を奪われた。「社会人では簡単に三振は取れない。九谷さんのような投球術も身に付けていきたいです」。自身の変化球は、スライダーとチェンジアップが主体だが、「投球の幅を広げるため、新しいボールを身につけたいです」と意欲を見せた。

 ヤマハは、昨年巨人4位の池田駿(25)、今年中日1位の鈴木博と、好投手を輩出してきた。池谷は「たくさんの先輩投手から学んで『自分の型』を見つけていきたい。いずれは都市対抗や日本選手権に貢献したいです」と言った。ヤマハと自分の未来を切り開く歩みが、いよいよ始まる。【鈴木正章】