大阪桐蔭はドラフト1位候補・根尾昂内野手(3年)が9四球を与えながら11奪三振1失点完投。初出場の明秀学園日立(茨城)を5-1で下した。

 決勝まで勝ち進めば、5日間で4試合を戦う厳しい日程が待つ。投手層の厚い大阪桐蔭が先発を託したのは、背番号6の根尾だった。遊撃手と兼務する右腕は4安打に抑えて、1失点完投。「走者をたくさん出してしまったが、野手に助けられた」と安堵(あんど)した。

 昨春は優勝の瞬間をマウンドで迎えた根尾にとって、甲子園10試合目で初の先発だった。西谷浩一監督(48)は「ブルペンであまり良くなかったので、心配していた」。捕手の小泉には「腕の見せどころだぞ」と伝えたという。最速147キロをマークし、11奪三振。4番の芳賀からは3三振を奪った。低めの変化球を見極められて9四球を許したが、153球で投げ切った。

 西谷監督が根尾に先発を告げたのはこの日の朝だった。同監督は「前の試合後から投手として調整させてきた。本人は分かっていたと思う」と語る。根尾も「連戦は(エースの)柿木だけでは戦えない。自分を含めて総力戦」と意図を理解していた。

 9回はソロ本塁打で4点差に迫られた。2死満塁となっても、柿木への交代はなかった。根尾は「自分が投げ切れば他の投手の負担が減る」と完投への満足感を示した。根尾は練習における投手の比率が「1~2割」という。西谷監督は「冷静に投げてくれて、さすがと思った」とたたえた。「二刀流」根尾が、春連覇に向けたピースとなる。