クラークが深川西を8-2で下し、2年ぶり2度目の春全道大会の切符をつかんだ。この日で代表16校が決定。あす23日に組み合わせ抽選が行われ、28日開幕の全道大会(札幌円山)に臨む。

 クラークの新右腕エース、ピダーソン和紀(3年)が、道内公式戦デビューを果たした。8-0の9回2死から登板。初球が相手ヘルメットをかすめる死球になると、次打者に中堅2点ランニング本塁打を献上。前籍校の熊本・鎮西1年時の秋季県大会以来、609日ぶりのマウンドに「緊張して球を全くおさえられなかった」と苦笑いも、続く打者を抑え、打者3人1安打2失点でリスタートを切った。

 1年生の11月にクラーク転校。高野連規定で1年間公式戦に出場できなかった。主将の千葉慶大遊撃手(3年)は「『試合に出たいなあ』とボソッと言っている時もあった」と明かす。つらくとも「1年間は我慢」と割り切って筋トレに打ち込み、184センチの肉体はパワーアップ。オーバースローからスリークオーター気味へ投球フォームを変更すると、120キロ前半のスピードが145キロまで伸びた。佐々木啓司監督(62)は「今日は久々だから仕方ない。球自体は悪くなかった」と評価した。

 3月の練習試合で、センバツ準優勝の智弁和歌山を3失点に抑え、ポテンシャルの高さを見せた。今大会初戦、登板を期待したプロスカウトも訪れていた。

 昨秋の文化祭で、この日4打数3安打2打点1本塁打の土屋柚稀一塁手(2年)とコンビで漫才を披露し、校内を沸かせた。舞台が大きくなるほど力を発揮できる。「円山でスカウトにアピールします」。ほろ苦い初戦を教訓に、高校生活最初で最後の全道大会に乗り込む。【中島洋尚】