御殿場西(静岡)の松本龍星捕手(3年)は、5月にブルペン担当コーチに就任した。練習メニューの作成から、練習中の指導、補助など全てを一任されている。「最後の夏」は全身全霊で裏方としてチームを支え、92年センバツ以来、夏は初の甲子園出場を目指す。

 松本は昨年8月、新チーム結成直後に、チームの裏方に回ることを決意した。主にバッテリーのサポートに徹していたが、森下知幸監督(57)から5月より正式にブルペンコーチを任された。打診を受けた際、戸惑いはあったが「チームのために」と一念発起。「どうすれば自分が貢献出来るか考えました」。

 より効果のある指導を求め、試行錯誤の日々が続いた。豊富な人脈を持つ森下監督経由で、前任の常葉大菊川OBや大学野球の関係者に、積極的にアドバイスを求めた。今では選手個々の課題に合わせ、練習メニューを組めるまでになった。「結果が出なければ、自分の責任です。ですが、とてもやりがいを感じています」。

 卒業後は漁師になることを夢見ていたが、責任ある役割を与えられ、新たな目標が生まれた。「大学に進学し、学生コーチをやってみたいです」。指揮官からも、人間性を高く評価され「今どきでは珍しく、人のために身を粉にして働いてくれる子です」。

 夏は選手として試合に出場することはないが、サポートメンバーとして、ベンチ入りする可能性がある。松本は「居場所を与えていただき、ありがたいです」。主将の土屋佑輝也左翼手(3年)は、チームを支える同級生のために、躍進を誓った。「感謝してもしきれません。結果で恩返しをします」。

 狙うは92年センバツ以来で、夏では初の甲子園出場だ。「試合で選手たちが大胆なプレーが出来るよう、雰囲気作りに努めます」と松本。献身的なサポートを受け、御西が聖地を目指す。【古地真隆】