決勝で大阪桐蔭が智弁和歌山を3-1で破り、2年連続5度目の優勝を果たした。今春のセンバツ決勝と同カードの一戦で、今秋のドラフト1位候補の根尾昂(あきら)内野手(3年)は11安打を浴びながら1失点で完投し、5番打者として4回の勝ち越し適時打を含む3安打2打点と「二刀流」で躍動した。春夏連覇に挑む第100回全国高校野球選手権記念大会に向けて弾みをつけた。

 127球目。最後の打者を空振り三振に仕留めると、大阪桐蔭・根尾はほっとひと息ついて整列に加わった。「リズムが悪いなと思いながら、なんとか守備に守ってもらって粘って投げられました」。言葉は控えめだ。しかし、センバツ決勝同様、攻守で智弁和歌山をねじ伏せた。

 「5番投手」で先発。初回に先制を許したが、打って取り返した。藤原の適時打で1-1とした4回無死二塁で勝ち越しの右前適時打。8回には右翼への適時二塁打で2点差に広げた。打っては3安打2打点、投げては11安打されながら8三振を奪い1失点完投。プロのスカウトのスピードガンでは最速145キロを計測。センバツ決勝と同じく堂々の優勝投手となった。

 試合後、根尾はすでに夏を見ていた。「今日で春の大会は全部終わった。6月を目いっぱい使って、最後の夏の大会に向けて全国の中で一番いい準備をしたい」。先月、14年夏の甲子園優勝時の主将で、日体大4年の中村誠外野手が教育実習にやってきた。3週間練習に参加し、メンバーとのミーティングも行われた。「いいやつが集まってまとまっている。夏はどこまで、チームをまとめられるかが大事」。夏の頂上を知る先輩から助言を受けた。

 「なんとしても最後の最後までこのチームで試合をしたい気持ちが強いので、なんとかまず大阪で勝って、甲子園に行けるように頑張りたいと思います」と根尾。史上初の2度目の春夏連覇に挑む戦いはもう始まっている。【磯綾乃】